あの時、シルナは言った。

決闘が終わって、無事にイーニシュフェルト魔導学院に凱旋した後。

お互い、幻の世界での出来事を語り合いながら…。死者蘇生魔法のことを打ち明けた時。

死者蘇生の魔法を使うつもりはない。

でも、俺や…仲間の命が失われることがあったら、その時は…手を出してしまうかもしれない、と。

「…本気なのか?本気で…死者蘇生を…」

「迷ってるんだ。どうすべきなのか…」

「…」

その、気持ちは分かるけど。

「マシュリは…きっと、そんなこと望んでないぞ」

仇討ちも、死者蘇生も望んでない。

望むはずがない。…そんなことを。

「分かってる…。だけど、方法があるのに行動を起こさなかったら、後悔するんじゃないかって…」

「…」

「マシュリ君を救ってあげられなかった、その罪滅ぼしが出来るとしたら…これしかないんじゃないかって…」

…そうか。

それで、ずっと迷って…悩んでたんだな。

その悩みを、俺に相談してくれたことは感謝する。

だけど、それはきっと…。

「…シルナ。お前はマシュリを…」

と、俺が口を開いたその時だった。




「済みません。起きてますか?学院長先生」

唐突に、学院長室の扉がノックされた。

俺達は、急いで口を噤んだ。

この話題を、他の誰にも聞かれる訳にはいかない。