…リリスは、自分の知っている全てを包み隠さず話してくれた。

その話を全部聞いてから、僕は、何故リリスが頑なに、僕にその事実を隠そうとしていたのか分かった。

決して悪意ではない。意地悪のつもりで黙っていたんじゃない。

本当に、僕のことを…大切に思ってくれているが故に。

僕を危険な目に遭わせない為に、敢えて、自分一人で抱え込もうとしていたのだということが。

その気持ちが嬉しかった。…とても。

心配してくれる人がいるっているのは、それだけでかけがえのない財産だ。

「…って、いうことなんだけど」

「はい」

リリスは、ようやく全ての話を終えた。

「…それを知った上で、君はどうする?」

どうする、と来ましたか。

「私としては、このまま満足して、全部ここだけの話ってことにして、私とナジュ君だけの秘密にしてくれることを望んでるんだけど…」

「そうですか」

「…この後、君はどうするの?」

そうですね。

この後、リリスから話を聞いた後に、どうするか…。

…愚問ですね。

「…わざわざ聞きます?それ」

「…だよねー…。そう言うと思った…」

僕のことをよく理解してくれているようで、何より。

勿論、僕は黙って引き下がったりはしませんよ。

「本当に…悪い子だよ、君は…」

「そうですね。嫌いになりました?」

「…ならない…」

それは良かった。

リリスは変わらず僕のことを好きでいてくれるし、僕も変わらずリリスのことを好きだし。

その上、今の僕達にとっては喉から手が出るほど欲しかった、超朗報を聞くことが出来た。

万々歳、とはこのことじゃないですか。

「大丈夫ですよ、リリス。心配しなくても」

「何でそう言い切れるの?…自分がこれから何をしようとしてるのか、分かってる?」

えぇ、それは勿論。

いや、本当は分かってないのかもしれませんが。

でも、分からないなら分からないまま飛び込む方が、帰って恐怖心に駆られずに済むのでは?

「僕は一人じゃありませんからね」

赤信号、皆で渡れば怖くない。ってね。