――――――…仲間達のもとから、逃げるように自分の部屋に戻った。

羽久さんも天音さんも、学院長も。

僕が自分のことを責めているんじゃないか、と心配しているのが、手に取るように分かった。

その通りだ。言い返す言葉もない。

悔しかった。自分は死なないのに、仲間が死ぬことが凄く悔しかった。

自分の身勝手のせいで、これまで大勢人を殺してきた僕が、こんなことを言うのは許されないだろう。

でも、悔しくて堪らなかった。

その死がマシュリさんのものではなく、自分のものであったらどんなに良かったか。

マシュリさんは生きるべきだった。血に塗れた死にたがりの僕とは違って、あの人には未来があった。

明るい、幸福な未来が。

何で僕が生きてるのに、先にマシュリさんが死ななきゃいけないのか。

こんなことはおかしい。間違っているのだ。

…だけど、僕が仲間達のもとから逃げてきたのは、それだけが理由ではなかった。

マシュリさんの亡骸を、この目で見てからずっと…。

僕以上に動揺している、僕の中のもう一人と、会って話したかった。

「彼女」なら、僕達の知らないことを知っている。…そんな予感があった。

だから。





「…教えてください、リリス」

「…ナジュ君…」

僕は、意識を自分の中の精神世界に移した。

そこには、酷く戸惑ったような表情をした、僕の中のもう一人…リリスが、僕を待っていた。