――――――…一方、その頃。イーニシュフェルト魔導学院では。



「じゃーんっ!羽久、見て!馴染みのお菓子屋さんに頼み込んで、特別に作ってもらったおせち!」

学院長室で、シルナが、3段のお重を手にしていた。

「お前、また無駄遣いして…。…って、おせちなのにお菓子屋…?」

「ふふふ、驚いているようだね羽久。なんとこのおせち…じゃーん!豪華、特盛り、チョコおせち!」

「うわっ…!」

驚いたことに、そのおせちのお重の中には。

トリュフチョコ、チョコプラリネ、ボンボンショコラ、チョコクランチ、生チョコ。

チョコケーキ、チョコドーナツ、チョコシューにチョコマフィン、チョコマカロン。

チョコパイにガトーショコラ、チョコスフレとチョコプリン、チョコチップたっぷりチョコスコーン。等々。

1、2、3全てのお重に、所狭しとチョコのお菓子だけが敷き詰められていた。

「…こんな黒々したおせち、見たことがないな…」

ある意味、圧巻。

「でしょ!?すっごく美味しそうだよね〜!」

嫌味のつもりで言ったんだが?

「特注で作ってもらったから、ちょっとお値段は張ったけど、でもお正月だし、特別だよね!さぁ皆で食べよー!」

…シルナ、お前は気づいていないようだな。

お前の背後に、こめかみに血管を浮き立たせたイレースが、腕組みして立っていることを。

…俺しーらね。

ま、本人が幸せそうだから、それでいっか。




















END