えぇと、あとは…。

イレースはどうしてるだろう?

きょろきょろと、イレースの姿を探してパーティー会場を見渡すと。

いた。講堂の入り口の方に。

「ようこそいらっしゃいました。…えぇ、参加は自由で、無料です。こちらは粗品です。お受け取りください」

イレースは、パーティー会場にやって来た学外のお客さんに、小分けのチョコレートと。

「それから、こちらは学院パンフレットになります」

ちゃっかりと、学院パンフレットも一緒に配布していた。

広報活動に勤しんでいる。…さすがである。

それから…。あとはマシュリだな。

マシュリは何やってるんだろうか、と探してみたら。

「うわぁ、いろりちゃん。その子達、お友達なの?」

「こんなに友達がいるなんて、いろりは顔が広いんだなー」

という生徒の声が聞こえて、そちらの方を向くと。

会場の隅に、猫が何匹も集まって、生徒達に手ずから、おやつの猫用ちゅちゅ〜るを食べさせてもらっていた。

…マシュリの奴、近所の猫友達を招待してやがる。

あれが、マシュリのネコミュニティとかいう奴か。

あいつもあいつで、ちゃっかりしてんな…。

…野良猫に安易な餌付けは駄目だぞ。俺との大事な約束だ。

あれはマシュリだから許されているのであって。

何だかんだ、皆してチョコフォンデュパーティーを楽しんでるようだな。

かく言う俺も、試しにオレンジにチョコをつけて、食べてみた。

…うん。味は普通に。ちゃんと美味しい。

シルナの言う通り、最近はずっと大変なことが続いたから…。

たまにはこうして、羽目を外してガス抜きすることも大切なのかもしれない。

…まぁ、シルナは羽目を外し過ぎだがな。

けど、シルナがあんな風に心からはしゃくごとが出来るのは、それだけ平和だってことで…。

それは素直に、喜ぶべきなんだろうな…。

などと、考えていたその時。

「楽しそうなことをしていますね。チョコレートの噴水…ですか」

「おぉ、リューイじゃないか。あれはチョコフォンデュって言うんだ」

聞き覚えのある声がして振り向くと、そこにはリューイがいた。

…おぉ。久し振りだな。