来月届くであろう請求書は恐ろしいが。

それはそれとして、いざチョコフォンデュパーティーが開催されると。

シルナは、それはもう大層ご満悦であった。

「はぁ〜!チョコ美味しー!」

シルナは一心不乱に、フォンデュフォークに一粒大のチョコレートを刺しては。

とくとく、とろとろと流れるチョコレートをフォンデュして、食べまくっていた。

…あいつ、マジでチョコにチョコつけて食ってるぞ。

完全に、頭の中をカカオと砂糖に侵食されている。

クレイジー過ぎてドン引き。

「羽久が私に失礼なこと考えてる気がするけど…。口の中がチョコレートでいっぱいで幸せ過ぎるから、今は良いや…」

「あ、そ…」

幸せそうで何より。

そんなシルナを、更に有頂天にさせたのは。

チョコフォンデュパーティーに招待された、生徒達の嬉しそうな言葉。

「ありがとうございます、学院長先生。とっても美味しいです!」

「こんな豪華なチョコフォンデュ、初めてです」

という、生徒達の無邪気な喜びの声。

これを聞いて、シルナはもう有頂天。

「だよね、だよね!皆いっぱい食べてね〜」

…駄目だ。今のシルナには、どんな嫌味を言っても通じないな。

もうほっとこ。

それに、生徒達が嬉しそうに過ごしているのを見て、俺も悪い気はしない。

…さて、他の面々はどうしているだろう?

「はいっ、天音さん。取ってきましたよ」

「ありがとう、ナジュく…って、何で全部さくらんぼなのっ…!?」

取皿いっぱいにさくらんぼを取って、天音に差し出すナジュの姿があった。

「だって、天音さん『任せる』って言ったじゃないですか」

「い、言ったけど…」

「それにほら、これは天音さんにチェリーボーイを卒業して欲しいという、僕からの精一杯の思いやり…」

「ナジュ君っ!」

…あいつ、まーた天音をからかって遊んでら。

全く性懲りのない奴…。

更に、そんなナジュと天音の反対側では。

「わ〜!すぐり君、このかぼちゃ美味しいね!私達の畑で作ったかぼちゃみたい」

「うん、それ俺達の畑で作ったかぼちゃだからねー」

「具材に野菜が全然なかったから、お裾分けしたんだ」

元暗殺者二人と、園芸部仲間のツキナが。

野菜にチョコレートをフォンデュして、美味しそうに頬張っていた。

「なるほどー!それは美味しいはずだ」

「でしょー?」

「そうだ!もっと色んな野菜にチョコをつけてみよう。お野菜の可能性が広がるかも!」

「それは名案だね」

「よーし!そうと決まれば、畑に成ってるセロリとゴボウとモロヘイヤ、収穫してこよー!」

野菜に、チョコフォンデュの可能性を見出していらっしゃる。

…楽しそうなのは良いけど、セロリとゴボウはチョコには合わないのでは?

…まぁ、ツッコまないでおこう…。