その瞬間に起こったことを、一言で説明するのは難しい。
ナツキ様の言葉は、はったりでも何でもなかった。
バニシンとイルネの体内には、確かに爆弾が埋まっていた。
そして、ナツキ様は実際にその爆弾を起爆した。
それが本当に爆発すれば、ここにいる全員、ただでは済まないはずだった。
…何もしなければ、の話だが。
爆弾が起爆した瞬間、俺達は、あらかじめ決められていたかのように、瞬時に動いた。
まず真っ先に動いたのは、マシュリと、それからイレースだった。
マシュリは瞬時に神竜形態に『変化』し、魔力で作った巨大な火の玉をバニシンに。
イレースが、お得意の超火力雷魔法をイルネに、それぞれぶつけた。
その凄まじい火力で、二人の体内に埋め込まれていた爆弾の威力を相殺した。
それでほとんど爆弾攻撃は無効化したが、勿論、それだけで完全に爆弾の威力を消すことは出来なかった。
しかし、それもまた想定内。
残った爆弾の威力は、ナジュが風魔法で爆風を吹き飛ばすことで相殺した。
爆風を受けた反対側の壁が、あっという間に粉々に消し飛んだ。
同時に、天音が周囲に防御魔法の壁を張って、爆風の余波から仲間達を守った。
ここまでの連携は完璧だった。何の文句のつけようもない。
そして、その間他のメンバーも、何もせずに見ていた訳では無い。
俺達の咄嗟の連携を見て、呆気に取られているナツキ様を。
すぐりが糸魔法で捕らえ、雁字搦めにして床に捻じ伏せた。
その上に令月が取り付いて、残った小太刀の刀身をナツキ様の首筋に当てた。
これで、もうナツキ様は身動ぎ一つ出来ない。
そして、残るは天使達。
「…!?」
「…何故…!」
さすがのハクロとコクロも、この展開は全く予想していなかったらしい。
そりゃそうだろう。同情するよ。
でも、容赦はしない。
敵の隙は、こちらにとって最大のチャンスだ。
「羽久!」
「あぁ、分かってる」
俺は、懐中時計を手に取った。
まずは、ハクロとコクロの動きを止める。
「aegm eimt ptos」
「eeinforcr」
俺が、狼狽えるハクロとコクロの時間を止め。
シルナが、その魔法をより強く強化した。
俺とシルナの、いつもの合わせ技。特別バージョンだ。
これなら、例え相手が大天使であろうとも、一時的に完全に動きを止めることが出来る。
だが、相手は腐っても天使。
俺とシルナの渾身の合わせ技魔法でも、ハクロとコクロの動きを止められるのは一瞬だけだ。
おまけに、俺とシルナがこの時魔法を使っている間、別の魔法を使うことが出来ない。
だから、ハクロとコクロを仕留めようと思ったら、二人の時を止めている間、別の誰かが動かなければならない。
だけど、心配する必要はなかった。
僅か一瞬でも猶予があれば、彼がやってくれる。
今の俺達の、最大の切り札が。
「リューイ!!」
叫ぶように彼の名前を呼んだ時にはもう、リューイは動いていた。
リューイの手には、見たこともない鎌が握られていた。
まるで死神のような、巨大な黒い鎌。
それが、大天使であるリューイが、聖神ルデスから賜った武器だった。
「…聖賢者殿、時魔導師殿」
そのリューイの鎌が、動きを止められたハクロとコクロに迫った。
「…感謝します」
リューイの鎌の一撃が振り下ろされ、強い光が辺りを埋め尽くした。
思わず目を閉じてしまったが。
次に目を開けた時、全てが終わっていた。
ナツキ様の言葉は、はったりでも何でもなかった。
バニシンとイルネの体内には、確かに爆弾が埋まっていた。
そして、ナツキ様は実際にその爆弾を起爆した。
それが本当に爆発すれば、ここにいる全員、ただでは済まないはずだった。
…何もしなければ、の話だが。
爆弾が起爆した瞬間、俺達は、あらかじめ決められていたかのように、瞬時に動いた。
まず真っ先に動いたのは、マシュリと、それからイレースだった。
マシュリは瞬時に神竜形態に『変化』し、魔力で作った巨大な火の玉をバニシンに。
イレースが、お得意の超火力雷魔法をイルネに、それぞれぶつけた。
その凄まじい火力で、二人の体内に埋め込まれていた爆弾の威力を相殺した。
それでほとんど爆弾攻撃は無効化したが、勿論、それだけで完全に爆弾の威力を消すことは出来なかった。
しかし、それもまた想定内。
残った爆弾の威力は、ナジュが風魔法で爆風を吹き飛ばすことで相殺した。
爆風を受けた反対側の壁が、あっという間に粉々に消し飛んだ。
同時に、天音が周囲に防御魔法の壁を張って、爆風の余波から仲間達を守った。
ここまでの連携は完璧だった。何の文句のつけようもない。
そして、その間他のメンバーも、何もせずに見ていた訳では無い。
俺達の咄嗟の連携を見て、呆気に取られているナツキ様を。
すぐりが糸魔法で捕らえ、雁字搦めにして床に捻じ伏せた。
その上に令月が取り付いて、残った小太刀の刀身をナツキ様の首筋に当てた。
これで、もうナツキ様は身動ぎ一つ出来ない。
そして、残るは天使達。
「…!?」
「…何故…!」
さすがのハクロとコクロも、この展開は全く予想していなかったらしい。
そりゃそうだろう。同情するよ。
でも、容赦はしない。
敵の隙は、こちらにとって最大のチャンスだ。
「羽久!」
「あぁ、分かってる」
俺は、懐中時計を手に取った。
まずは、ハクロとコクロの動きを止める。
「aegm eimt ptos」
「eeinforcr」
俺が、狼狽えるハクロとコクロの時間を止め。
シルナが、その魔法をより強く強化した。
俺とシルナの、いつもの合わせ技。特別バージョンだ。
これなら、例え相手が大天使であろうとも、一時的に完全に動きを止めることが出来る。
だが、相手は腐っても天使。
俺とシルナの渾身の合わせ技魔法でも、ハクロとコクロの動きを止められるのは一瞬だけだ。
おまけに、俺とシルナがこの時魔法を使っている間、別の魔法を使うことが出来ない。
だから、ハクロとコクロを仕留めようと思ったら、二人の時を止めている間、別の誰かが動かなければならない。
だけど、心配する必要はなかった。
僅か一瞬でも猶予があれば、彼がやってくれる。
今の俺達の、最大の切り札が。
「リューイ!!」
叫ぶように彼の名前を呼んだ時にはもう、リューイは動いていた。
リューイの手には、見たこともない鎌が握られていた。
まるで死神のような、巨大な黒い鎌。
それが、大天使であるリューイが、聖神ルデスから賜った武器だった。
「…聖賢者殿、時魔導師殿」
そのリューイの鎌が、動きを止められたハクロとコクロに迫った。
「…感謝します」
リューイの鎌の一撃が振り下ろされ、強い光が辺りを埋め尽くした。
思わず目を閉じてしまったが。
次に目を開けた時、全てが終わっていた。