この雰囲気の悪い国に、いつまでも長居はしたくない。

「イレース達と合流しよう。…あいつら、無事に辿り着いてると良いが…」

「そうだね…」

こればかりは、合流地点に行ってみないと分からない。

事前の申し合わせでは、どちらかが先に合流地点に到着した場合、その場で最大24時間待機する。

丸一日待って誰も来なかったら、その時は非常事態が起きたと判断し、任務を中断する。
 
と、いうことで話をつけてある。

果たしてイレース達は、合流地点で待っているだろうか?

列車ルートの方が速いはずだから、もし何事もなく皇都に辿り着けたなら、既に合流地点で待っているはずだが…。

でも、俺達だって実際に、山賊に襲われたのだ。

列車ルートも、全く何の危険もなかったとは思えない。

どうか無事でいてくれ、と祈るような気持ちで。

思わず早足になってしまうのも、無理もないことだった。

やがて、事前に決めておいた合流ポイント…皇宮近くにある公園が見えてきた。

果たして、そこに仲間達の姿を見つけられるだろうか。

「あっ…」

合流地点の公園を見つけるなり、俺は思わず声を出してしまった。

そこには、待ち望んでいた姿があった。





「やっと来ましたか。待ちくたびれましたよ」

「皆、良かった…!無事だったんだね」

「…イレース…!天音…!」

「僕もいるよ」

キャリーケースの中から、猫形態のマシュリが尻尾を振った。

「マシュリ…それに、ナジュも…!」

別行動していた仲間達の姿を、およそ二日ぶりに認め。

安堵のあまり、溜め息が出そうになった。