確かに、僕は恐れなかった。
何を見たとしても、恐ろしいと思うことはなかった。
ただ、動揺せずにいられたかと言うと、恥ずかしながら否だ。
窓を飛び降りて、校舎の外に出た僕達は。
手に持っていたランタンの灯りを消して、暗闇の中を息を潜めて捜索した。
グラウンド…には何もない。
稽古場…にも何もなかった。
何もないのを確認しても、やはり胸騒ぎは消えなかった。
第六感が、絶えず危険を訴え続けていた。
『八千歳』が隣にいなかったら、足を止めていたかもしれない。
「…ここにもない…ね」
校門の近くまでやって来て、周囲を見渡したが…何も見つからなかった。
灯りがなくても、暗闇に目が慣れている僕達にとっては関係ない。
むしろ、暗闇の方が目が冴えるくらいだ
「あと、探してないところと言えば…」
「畑かなー?園芸部の畑」
…くらいだね。
夕方まで畑で作業してた時は、おかしなものは何も見つからなかったけど…。
でも、油断は出来ない。
以前、僕達を襲ったイーニシュフェルトの里の魔法道具、通称『童話シリーズ』のうちの一つは。
他でもない、園芸部の畑から出土したのだから。
何が埋まっていたとしてもおかしくない。
周囲を絶えず警戒しながら、二人で園芸部の畑の方角に歩いていった。
「現場」が近付いてきた、その時。
僕は、はたと歩みを止めた。
『八千歳』も同時に気づいたようで、同じように一瞬立ち止まった。
僕達は、互いに顔を見合わせた。
その険しい顔で分かった。
僕達が感じた嫌な予感、胸騒ぎの正体が、何であるかも。
匂いがしたのだ。…僕達にとっては嗅ぎ慣れた匂い。
…血と、臓物の匂いだ。
問題は、それが「誰の」ものであるかという点だ。
人の気配は一切しなかった。人影も見えない。
僕達は走って、畑の方に向かった。
そこにあった。昼間、園芸部部長が「大きなカブ」をする為に、土に腐葉土を混ぜ、カブの苗を植えた場所。
その場所に、まるで空から撒いたかのように肉片が散らばっていた。
「…!『八千歳』、あれ…」
「…うん」
「それ」を見て、僕と『八千歳』は思わず、その場に立ち尽くした。
死体を見たことに動揺したんじゃない。
ネクロマンサーじゃないけど、僕達にとって死体は、ごくありふれた見慣れたものだから。
だから、死体を見たことに動揺したりはしなかった。
僕達が動揺したのは、その死体が…僕達のよく知っている人物。
マシュリ・カティアという…仲間の死体だったからだ。
何を見たとしても、恐ろしいと思うことはなかった。
ただ、動揺せずにいられたかと言うと、恥ずかしながら否だ。
窓を飛び降りて、校舎の外に出た僕達は。
手に持っていたランタンの灯りを消して、暗闇の中を息を潜めて捜索した。
グラウンド…には何もない。
稽古場…にも何もなかった。
何もないのを確認しても、やはり胸騒ぎは消えなかった。
第六感が、絶えず危険を訴え続けていた。
『八千歳』が隣にいなかったら、足を止めていたかもしれない。
「…ここにもない…ね」
校門の近くまでやって来て、周囲を見渡したが…何も見つからなかった。
灯りがなくても、暗闇に目が慣れている僕達にとっては関係ない。
むしろ、暗闇の方が目が冴えるくらいだ
「あと、探してないところと言えば…」
「畑かなー?園芸部の畑」
…くらいだね。
夕方まで畑で作業してた時は、おかしなものは何も見つからなかったけど…。
でも、油断は出来ない。
以前、僕達を襲ったイーニシュフェルトの里の魔法道具、通称『童話シリーズ』のうちの一つは。
他でもない、園芸部の畑から出土したのだから。
何が埋まっていたとしてもおかしくない。
周囲を絶えず警戒しながら、二人で園芸部の畑の方角に歩いていった。
「現場」が近付いてきた、その時。
僕は、はたと歩みを止めた。
『八千歳』も同時に気づいたようで、同じように一瞬立ち止まった。
僕達は、互いに顔を見合わせた。
その険しい顔で分かった。
僕達が感じた嫌な予感、胸騒ぎの正体が、何であるかも。
匂いがしたのだ。…僕達にとっては嗅ぎ慣れた匂い。
…血と、臓物の匂いだ。
問題は、それが「誰の」ものであるかという点だ。
人の気配は一切しなかった。人影も見えない。
僕達は走って、畑の方に向かった。
そこにあった。昼間、園芸部部長が「大きなカブ」をする為に、土に腐葉土を混ぜ、カブの苗を植えた場所。
その場所に、まるで空から撒いたかのように肉片が散らばっていた。
「…!『八千歳』、あれ…」
「…うん」
「それ」を見て、僕と『八千歳』は思わず、その場に立ち尽くした。
死体を見たことに動揺したんじゃない。
ネクロマンサーじゃないけど、僕達にとって死体は、ごくありふれた見慣れたものだから。
だから、死体を見たことに動揺したりはしなかった。
僕達が動揺したのは、その死体が…僕達のよく知っている人物。
マシュリ・カティアという…仲間の死体だったからだ。