「お前ら、随分余裕そうじゃねぇか。あぁ?」

ほらぁ。山賊を怒らせちゃってる。

言わんこっちゃない。シルナとリューイのせいだぞ。

ともかく、何とか対話を…。

「5000万はさすがに吹っ掛け過ぎだろ。減額を、」

「値段交渉は受け付けられねぇな」

あぁそうかい。

ま、そりゃそうだろうな。

「払うもん払いな。…それが出来なきゃ」

「出来なきゃ、どうなるんだ?」

「持てるもん、全部置いていってもらうぞ。…てめぇらの命もな」

…ふーん。

随分安っぽい挑発だな。

結局、予想通りの展開になってしまった。

「いやぁぁ!食べられちゃう!シルナが食べられちゃう〜っ!」

「お前はいい加減うるせぇよ、シルナ…」

「これが本当に、イーニシュフェルトの聖賢者殿ですか?」

言われてるぞ。リューイに。

ごめんな。これが本当の、イーニシュフェルトの聖賢者なんだよ。

御大層な異名で結構だが、こいつはただのシルナだからな。

もう良い。一人でビビってろ。

「…仕方ない。ここは実力行使で行くか…」

「ってことは、僕らの出番だね」

「山賊退治。久し振りで、腕が鳴るなー」

ビビってるシルナとは裏腹に、令月とすぐりはやる気満々であった。

…ここは、この二人に任せて何の問題もなさそうだな。

むしろ、俺が余計な手出をしたら、二人の連携の邪魔になるまである。

「…令月、すぐり。良いか、手加減をしてやれよ」

「大丈夫。二度と旅人を襲おうって気にならないようにしてあげる」

「因果おーほー、って奴だよねー」

…手加減は無理そうだな。

仕方ない。

命知らずにも、よりによって令月とすぐりに声をかけてしまった、自分達の愚かさを恨んでくれ。