列車ルート組と分かれ。

俺、シルナ、令月、すぐり、リューイの五人は、マシュリの書いてくれた地図に従い。

山越えルートを通って、皇都に向かうことになった。

山越えと言うくらいだから、もっと険しい山道を通ることを予想していたのだが…。

「…意外と、普通の道だな…」

さすがに舗装はされていないものの、山道は踏み固められていて、普通の畦道って感じ。

かつて、多くの人がこの場所を通ったものと思われる。

「出てくるかなー?山賊」

「いつ出てきても大丈夫だよ」

すぐりと令月は、余裕の表情で先頭を歩いていた。

元気だなぁ…。

「お前ら、危ないから俺とシルナの後ろを歩け」

「こういう時は、むしろ後ろの方が危ないんだよ。山賊にとっては、一行の中で一番後ろを歩いてる、一番臆病そうな人が狙い目だから」

と、令月が教えてくれた。

マジかよ。じゃあ出来るだけ前を歩こう。

「ひぇっ…」

一番後ろで、しかも一番ビビっていたシルナが、令月の言葉を聞いてぷるぷると震えていた。

…もしかしなくても、山賊に狙われるとしたら確実にお前だな。

「シルナ、お前は実に良いカモだな…」

「ひぇっ…。わ、私は何も、金目のものは持ってないよ!チョコ、チョコならあげるから、平和的にお引取り願いたい!」

さすがに山賊の皆さんも、チョコの為に追い剥ぎはしないだろ。

「山賊さーん!シルナは無害ですから、襲わないでー!」

「馬鹿、デカい声を出すな!」

むしろそれじゃあ、山賊を呼び寄せてるようなもんだろ。

黙って、静かに歩けっての。

…仕方ない。

「それじゃあ、令月とすぐりを先頭に…俺とシルナが殿を歩くから、リューイ、お前は真ん中を歩いてくれ」

と、俺はリューイに頼んだ。

道幅が広ければ、全員横一列に並んで歩くことも出来たんだけどな。

さすがにそこまで道幅が広くないので、どうしても縦一列に歩くしかない。

だったら、この並びが一番無難だろう。

しかし、リューイは。

「私が殿を歩きますよ。仮に山賊に襲われたとしても、私は何も持っていませんから」

とのこと。

「そういう問題じゃねぇよ。危ないから、お前は真ん中を歩け」

「この状況では、危ないのは誰も同じ…」

「良いから。他の誰かに殿を任せて、常に後ろを心配するより、ハナから自分が一番後ろを歩く方がマシだ」

「…」

リューイは、釈然としない表情だったが。

「…分かりました。では、そうしましよう」

と言って、俺とシルナの前に出た。

そう。そうしてくれ。

じゃ、この並びで進んでいくとしようか。

早速シルナがビビりまくって、俺の横にぴったりとくっついていて、最高に歩きにくい。