さて、そうと決まれば。
何はともあれ、まずはアーリヤット皇国に潜入して、ミカエルとラファエル…ハクロとコクロをナツキ様から引き離し。
それが無事に済んでから、次はリューイのご主人様の救出だ。
やることはいっぱい。山積みだぞ。
早速、ルーデュニア聖王国の港に問い合わせたところ。
ルーデュニア聖王国から、アーリヤット皇国の隣国に向かう船があるとのことだった。
輸出品を届ける船である。
これがフユリ様公認の秘密任務であることを説明し、その船にこっそり密航させてもらう手筈を整えた。
あとは、この船に乗り込むだけである。
俺は最低限の荷物だけをまとめて、学院を後にして港に向かった。
いよいよ、アーリヤット皇国潜入の旅に出発である。
緊張の瞬間…の、はずだったのだが。
「はいっ、皆。チョコどうぞー」
「…こんな時でも、お前はいつも通りで余裕だな…」
早速、船に乗り込み、出港を待っている間。
まずは手始めに、とばかりにシルナは手持ちのリュックから、箱入りのチョコレートを取り出した。
無賃乗船してるんだぞ、俺達。余計なもん持ってくるんじゃねーよ。
これが終わったら、後で船の船長に謝礼を渡す予定である。
「折角の船旅だよ?肩の力を抜いていこうよ」
お前は力を抜き過ぎだ。
それに…。
「船旅って言ったって、俺達、この貨物室から出られないだろ」
船旅と言えば、何だかリッチなクルーズ船にでも乗っているかのような印象を受けるが。
そういうのじゃない。決して。
そもそもこの船は、旅行用のクルーズ船なんかじゃない。
ただ荷物を積んで届けるだけの、輸送船に過ぎない。
船内の設備は最低限だし、おまけに俺達は、船長に無理を言ってこっそり便乗させてもらっている身。
この船の中で、俺達が乗船していることを知っているのは、船長以下、ほんの数人のみ。
他の乗組員は、俺達が忍び込んでいることを知らない。
従って俺達は、他の乗組員に姿を見られないよう、こうして貨物室に閉じこもって。
船が目的地に着くまで、息を殺して潜んでいなければならないのである。
…折角の船旅なのに、眺められるものと言ったら、貨物室に大量に詰め込まれた木箱や布袋だけ、とは。
密航させてもらってるんだから、文句を言ってはいけないのは百も承知。
だが、この後待ち受けている船旅を思うと、早くもうんざりした気持ちにさせられた。
何はともあれ、まずはアーリヤット皇国に潜入して、ミカエルとラファエル…ハクロとコクロをナツキ様から引き離し。
それが無事に済んでから、次はリューイのご主人様の救出だ。
やることはいっぱい。山積みだぞ。
早速、ルーデュニア聖王国の港に問い合わせたところ。
ルーデュニア聖王国から、アーリヤット皇国の隣国に向かう船があるとのことだった。
輸出品を届ける船である。
これがフユリ様公認の秘密任務であることを説明し、その船にこっそり密航させてもらう手筈を整えた。
あとは、この船に乗り込むだけである。
俺は最低限の荷物だけをまとめて、学院を後にして港に向かった。
いよいよ、アーリヤット皇国潜入の旅に出発である。
緊張の瞬間…の、はずだったのだが。
「はいっ、皆。チョコどうぞー」
「…こんな時でも、お前はいつも通りで余裕だな…」
早速、船に乗り込み、出港を待っている間。
まずは手始めに、とばかりにシルナは手持ちのリュックから、箱入りのチョコレートを取り出した。
無賃乗船してるんだぞ、俺達。余計なもん持ってくるんじゃねーよ。
これが終わったら、後で船の船長に謝礼を渡す予定である。
「折角の船旅だよ?肩の力を抜いていこうよ」
お前は力を抜き過ぎだ。
それに…。
「船旅って言ったって、俺達、この貨物室から出られないだろ」
船旅と言えば、何だかリッチなクルーズ船にでも乗っているかのような印象を受けるが。
そういうのじゃない。決して。
そもそもこの船は、旅行用のクルーズ船なんかじゃない。
ただ荷物を積んで届けるだけの、輸送船に過ぎない。
船内の設備は最低限だし、おまけに俺達は、船長に無理を言ってこっそり便乗させてもらっている身。
この船の中で、俺達が乗船していることを知っているのは、船長以下、ほんの数人のみ。
他の乗組員は、俺達が忍び込んでいることを知らない。
従って俺達は、他の乗組員に姿を見られないよう、こうして貨物室に閉じこもって。
船が目的地に着くまで、息を殺して潜んでいなければならないのである。
…折角の船旅なのに、眺められるものと言ったら、貨物室に大量に詰め込まれた木箱や布袋だけ、とは。
密航させてもらってるんだから、文句を言ってはいけないのは百も承知。
だが、この後待ち受けている船旅を思うと、早くもうんざりした気持ちにさせられた。