…さて、フユリ様との謁見を行った、数日後。
「…で、どうだ?シルナ。フユリ様はなんて?」
「…返事がない、って」
シルナは困ったような表情で、そう答えた。
…そうか。やっぱりそうなるよな。
フユリ様はあれからすぐ、兄のナツキ様に手紙を書いてくれたらしい。
真実を暴露する手紙を。
だが、ナツキ様は今のところ、無反応。
どころか、手紙を持っていった特使を、王宮から締め出す始末だったそうだ。
…手紙を受け取ってももらえないとは。
どんだけフユリ様のことを嫌ってるんだ。
「そりゃそうでしょう。側近二人は皇王に真実を暴露されたら困るのだから、真実を知る可能性があるものは、徹底的に排除するのが当然です」
と、イレース。
…だよなぁ…。
「まぁ、無理だろうなとは思ってたよ。例え手紙を受け取ってもらえたとしても…。多分、ナツキ様の心には響かないだろうから」
「…『ムシ』の時もそうだったもんな」
「うん…」
『ムシ』に寄生されたイレース達に、いくら「お前は操られてるんだ」と訴えても、全く聞く耳を持ってもらえなかった。
それと同じだ。洗脳されている者は、自分が洗脳されていると気づかない。
いくら他人に「お前は洗脳されているのだ」と訴えられても、そんなはずはないと鼻で笑うだけ。
洗脳されている自覚があるなら、それはもう洗脳とは呼ばないもんな…。
「…やっぱり、最初に考えてた方法を実効に移すしかないね」
シルナが、そう呟いた。
最初に考えてた方法…?
「こんな時、リューイさんがいてくれたら…意見を聞くことが出来たのにね」
と、天音。
「全くだよ…」
餅のことは餅屋に聞くのが一番。
それと同じで、天使のことは天使に聞くのが一番だ。
だから、リューイが居てくれたら、どうすればナツキ様の洗脳を解くことが出来るのか、リューイに聞けたのに…。
肝心な時に、あの天使、姿を見せない。
気づいたらいなくなってた。
「ったく、あいつ何処行ったんだ…?」
何も言わずに姿を消しやがって。薄情にも程がある。
さっさと戻ってこいよ。
「姿が見えないと言えば…令月君とすぐり君もいないね。マシュリ君も…」
「あぁ…。あいつらもあいつらで、何処行きやがったんだ…?」
この非常事態、ルーデュニア聖王国の行く末を左右するであろう大事な局面で。
あいつらは会議にも参加せず、何処に行きやがった?
「ナジュ、知ってるか?」
「令月さんとすぐりさんなら、園芸部の畑です」
とのこと。
畑?
「こんな時に農作業かよ…」
「ほら、土に撒いた腐葉土に、『ムシ』が混じってたでしょう?あれが相当悔しかったらしくて」
あぁ、そういうこと…。
「土を全部入れ替えて、今度は市販の腐葉土ではなく、自分達で山に行って腐葉土を作って、畑に撒くことにしたそうです」
「…凄い執念だな…」
腐葉土を自分で作るって、マジ?
余程、『ムシ』に操られたのが悔しかったらしい。
「…で、どうだ?シルナ。フユリ様はなんて?」
「…返事がない、って」
シルナは困ったような表情で、そう答えた。
…そうか。やっぱりそうなるよな。
フユリ様はあれからすぐ、兄のナツキ様に手紙を書いてくれたらしい。
真実を暴露する手紙を。
だが、ナツキ様は今のところ、無反応。
どころか、手紙を持っていった特使を、王宮から締め出す始末だったそうだ。
…手紙を受け取ってももらえないとは。
どんだけフユリ様のことを嫌ってるんだ。
「そりゃそうでしょう。側近二人は皇王に真実を暴露されたら困るのだから、真実を知る可能性があるものは、徹底的に排除するのが当然です」
と、イレース。
…だよなぁ…。
「まぁ、無理だろうなとは思ってたよ。例え手紙を受け取ってもらえたとしても…。多分、ナツキ様の心には響かないだろうから」
「…『ムシ』の時もそうだったもんな」
「うん…」
『ムシ』に寄生されたイレース達に、いくら「お前は操られてるんだ」と訴えても、全く聞く耳を持ってもらえなかった。
それと同じだ。洗脳されている者は、自分が洗脳されていると気づかない。
いくら他人に「お前は洗脳されているのだ」と訴えられても、そんなはずはないと鼻で笑うだけ。
洗脳されている自覚があるなら、それはもう洗脳とは呼ばないもんな…。
「…やっぱり、最初に考えてた方法を実効に移すしかないね」
シルナが、そう呟いた。
最初に考えてた方法…?
「こんな時、リューイさんがいてくれたら…意見を聞くことが出来たのにね」
と、天音。
「全くだよ…」
餅のことは餅屋に聞くのが一番。
それと同じで、天使のことは天使に聞くのが一番だ。
だから、リューイが居てくれたら、どうすればナツキ様の洗脳を解くことが出来るのか、リューイに聞けたのに…。
肝心な時に、あの天使、姿を見せない。
気づいたらいなくなってた。
「ったく、あいつ何処行ったんだ…?」
何も言わずに姿を消しやがって。薄情にも程がある。
さっさと戻ってこいよ。
「姿が見えないと言えば…令月君とすぐり君もいないね。マシュリ君も…」
「あぁ…。あいつらもあいつらで、何処行きやがったんだ…?」
この非常事態、ルーデュニア聖王国の行く末を左右するであろう大事な局面で。
あいつらは会議にも参加せず、何処に行きやがった?
「ナジュ、知ってるか?」
「令月さんとすぐりさんなら、園芸部の畑です」
とのこと。
畑?
「こんな時に農作業かよ…」
「ほら、土に撒いた腐葉土に、『ムシ』が混じってたでしょう?あれが相当悔しかったらしくて」
あぁ、そういうこと…。
「土を全部入れ替えて、今度は市販の腐葉土ではなく、自分達で山に行って腐葉土を作って、畑に撒くことにしたそうです」
「…凄い執念だな…」
腐葉土を自分で作るって、マジ?
余程、『ムシ』に操られたのが悔しかったらしい。