私は焦っていたのかもしれない。
これ以上、私達が蒔いた「種」が芽吹く前に。
この二人を、何とか説得して手を引かせなければならない、と。
だからこそ、焦りのあまり判断を誤ってしまった。
セラフィムとソロネを言葉で説得出来る、なんて思ってしまった。
私の裏切りに激怒した二人が、どのような行動に出るか…。
少し考えれば、予想することだって出来たはずなのに。
「…智天使ケルビム。貴様は三大天使として相応しくない」
「…待ってください、私は…!」
「少し、ここで頭を冷やしてくるが良い。その間に、裏切り者のシルナ・エインリーは、我らが裁きを下す」
「…!」
セラフィムは、太く、長い鎖を手にしていた。
あれは…グレイプニルと呼ばれる、あらゆるものを縛り、封印する為の鎖。
あの鎖に囚われれば、例え天使であろうとも、一歩も動くことは出来ない。
…不味い。
セラフィム達がこのような強硬手段に出ると、予測出来なかった私の判断ミスだった。
だが、時は既に遅い。
自分の判断の甘さを猛烈に後悔しながら、それでも私は、鎖に囚われるまでの僅かな時間で、自分に出来ることを考えた。
今私に出来ることは。
「リューイ…!お願いです、彼らを…!」
「…智天使様…!」
「行ってください、早く!」
「…っ!」
僅かに躊躇ってから、それでもリューイは、踵を返して地上に向かって飛んだ。
ありがとう、リューイ。…どうかお願いします。
…今の私に出来ることは、これだけだ。
私の忠実な味方に、私の意志を託すこと。
そして。
…どうか、彼らが無事でありますようにと祈ることだけだった。
セラフィムが放ったグレイプニルが、私の両手両足を拘束した。
これ以上、私達が蒔いた「種」が芽吹く前に。
この二人を、何とか説得して手を引かせなければならない、と。
だからこそ、焦りのあまり判断を誤ってしまった。
セラフィムとソロネを言葉で説得出来る、なんて思ってしまった。
私の裏切りに激怒した二人が、どのような行動に出るか…。
少し考えれば、予想することだって出来たはずなのに。
「…智天使ケルビム。貴様は三大天使として相応しくない」
「…待ってください、私は…!」
「少し、ここで頭を冷やしてくるが良い。その間に、裏切り者のシルナ・エインリーは、我らが裁きを下す」
「…!」
セラフィムは、太く、長い鎖を手にしていた。
あれは…グレイプニルと呼ばれる、あらゆるものを縛り、封印する為の鎖。
あの鎖に囚われれば、例え天使であろうとも、一歩も動くことは出来ない。
…不味い。
セラフィム達がこのような強硬手段に出ると、予測出来なかった私の判断ミスだった。
だが、時は既に遅い。
自分の判断の甘さを猛烈に後悔しながら、それでも私は、鎖に囚われるまでの僅かな時間で、自分に出来ることを考えた。
今私に出来ることは。
「リューイ…!お願いです、彼らを…!」
「…智天使様…!」
「行ってください、早く!」
「…っ!」
僅かに躊躇ってから、それでもリューイは、踵を返して地上に向かって飛んだ。
ありがとう、リューイ。…どうかお願いします。
…今の私に出来ることは、これだけだ。
私の忠実な味方に、私の意志を託すこと。
そして。
…どうか、彼らが無事でありますようにと祈ることだけだった。
セラフィムが放ったグレイプニルが、私の両手両足を拘束した。