――――――…リューイが地上で見ていた光景を、私もまた、リューイの目を通して見ていた。

…リューイの言った通り。

裏切り者の聖賢者シルナ・エインリーは、底なしに優しくて、お人好し。

私には、このお人好しが悪人とは思えなかった。

神の裁きを下すに値するとは、とても思えなかった。

…この方達なら、大丈夫。

きっと、「これ以上の禁忌」を犯すことはないだろう。過去の過ちを、もう一度繰り返すことはないだろう。

だったら、これ以上彼らに手を出すのはやめるべきだ。

そう思ったからこそ、私は仲間の天使…熾天使セラフィムと、座天使ソロネを呼んだ。

改めて、彼らと話し合おうと思った。

聖賢者シルナ・エインリーから、手を引くように、と。







「…突然我らを呼びつけて、何の用だ?…智天使ケルビム」

「…お二人に話があります。…聖賢者シルナ・エインリーについて」

私がその名前を出した途端、二人の天使達は露骨に顔をしかめた。

さぁ、ここからが本題にして、正念場です。