…シュニィ達が徒党を組んで、イーニシュフェルト魔導学院に攻め込んできてから30分後。

「本当に…。その…なんとお詫びを申し上げたら良いか…」

ようやく『ムシ』の洗脳から解放されたシュニィは、気の毒なほど落ち込んでいた。

…さっきから、もう何回謝られたか分からん。

「聖魔騎士団副団長ともあろう者が…あんなにも呆気なく敵の手管に丸め込まれて…。面目次第もございません」

「そ、そんなシュニィちゃん…。落ち込まなくて良いんだよ。シュニィちゃんのせいじゃな、」

「容赦なく校舎爆破しようとしてたよねー」

「鬼みたいな形相だったね」

おい、やめろ。

無邪気な元暗殺者二人が、シュニィの傷口に塩を塗っていた。

「…」

シュニィ、撃沈。

あのな、令月、すぐり…。人のこと好き勝手言ってるが、お前らもさっきまで『ムシ』に洗脳されて、容赦なく俺達のこと殺しにかかってたからな。

更に、『ムシ』に洗脳されていたことに落ち込んでいるのは、シュニィだけではなく。

「羽久さんのことを忘れて、挙げ句襲いかかるなんて…」

「…」

ずーん、と落ち込んでいるクュルナ。

珍しいな…。クュルナがこんなに落ち込んでいるとは…。

『ムシ』に良いように操られていたのが、余程悔しいらしい。

「不甲斐ないな。他人の悪意に操られて、自分の信念を見失うとは」

「何とか止めてもらえて良かった…。この手で学院長達を傷つけることがあったら、一生自分を許せないところだった」

と、無闇とエリュティアが言った。

こちらも責任を感じてるらしいな。

「畜生。自分の心臓の中にイモムシ?そんなの分かるかよ畜生っ」

「キュレムさん、荒れてますねー」

…キュレムも超イラついてるみたいだ。

危うく校舎を爆破しかけたからな。そりゃそうなる。

未然に防げて本当に良かった。

「申し訳ありません、シルナ学院長…。このお詫びは必ず…」

「ま、まぁまぁ、別にシュニィちゃん達は悪くないから」

「ですが…」

「そうだっ。悪いと思ってるなら、今度皆で一緒にチョコレートパーティーしようよ。それでチャラ。ね?そうしよう?」

「…はい。学院長先生が、それで良いなら…」

そんなことで良いのかと、釈然としない表情でシュニィは頷いた。

良いんだよ。そんなことで。

全員、無事に正気に戻ったのだから、それ以上大切なことなんてない。

「…ありがとうな、珠蓮。お前のお陰で助かったよ」

それもこれも、救援に応じてくれた珠蓮のお陰だ。

それなのに、珠蓮は。

「気にするな。俺は、自分に出来ることをしただけだ」

とのこと。

…さてはこいつ、イケメンか?