イーニシュフェルト魔導学院の教師連を、正気に戻した後は。

今度は、学院の生徒達の番だ。

こちらは簡単だった。

これまでの経験から、『ムシ』を取り出す為には、わざわざ心臓手術をしなくても。

どうやら、胸の辺りに浅く傷をつけるだけで、体内から『ムシ』が飛び出すらしいということが分かった。

これが分かったら、話は早い。

俺達は深夜になるのを待って、生徒達が学生寮で寝静まった頃を見計らい。

非常に心苦しいが、こっそり生徒達の部屋に忍び込み、生徒達の身体から『ムシ』を取り出すという手段に出た。

あ、言っとくが、女子寮には入ってないぞ。

女子生徒に関しては、イレースとベリクリーデに任せた。

寝ている生徒が起きないように、抜き足差し足忍び足で部屋に忍び込むのは、それは神経を使った。

しかし、その甲斐はあった。

夜明けまでに、俺達は全生徒の体内から『ムシ』を取り出すことに成功した。

これで、完全にイーニシュフェルト魔導学院に平和を取り戻した。

ようやく一安心である。
   



「…これだけ見ると、壮観だな…」

「最高に気持ち悪いですね」

「あぁ…」

目の前に、うにょうにょと蠢くピンク色の巨大ミミズが小さな山になっていた。

…気持ち悪いを通り越して、グロいな。