そこで俺は、シルナとマシュリ、それからジュリスとベリクリーデと共に。

リューイから聞いた話を、かいつまんで皆に話して聞かせた。

ナジュは俺の心を読んで、先に知っていたから、驚いた表情は見せなかったが。

他の、令月、すぐり、イレース、天音の四人は。

「天使が作った『ムシ』…。僕ら、いつの間にかそんなものに寄生されてたんだ」

「へぇー、良いように操られたみたいで、なんか癪だなー」

「そうでしたか…。確かに操られたのは癪ですが…」

と、イレースは何かを考えるような思案顔。

「…どうした?イレース。何か気になることでも?」

「いえ、大したことではありません。どうせなら、記憶をなくしてる間に、学院長に二、三発雷撃を食らわせてやれば良かったなと思っているだけです」

「ちょっとイレースちゃん!?それは大したことだよ!?」

…こんな時でもしたたかだな、イレースは。

良かったなシルナ。イレースに雷撃を食らわされる前に、イレースの記憶が戻って。

非常に危ないところだった。

「あ、あの、学院長先生。羽久さん」

「ん?」

天音が、横から申し訳無さそうに口を挟んだ。

「マシュリさん、ジュリスさんとベリクリーデさんも…。…本当に、ごめんなさい」

「…どうした?いきなり…」

そんな改まって謝罪して。

「知らなかったこととはいえ…。僕、皆に酷いことを…。どうお詫びしたら良いか…」

…律儀な奴だなぁ、天音は…。

「気にするなよ。お前のせいじゃないんだから」

「で、でも…」

「元の天音に戻ってくれたんだ。それだけで充分だよ。本当別人みたいだったもんな。両手に剣を持って、自分のこと『俺』って言ってて…」

「…」

天音は余程恥ずかしかったのか、この世の終わりみたいな顔で赤面。

「でも、あれは『ムシ』のせいで性格を変えられてたからであって、やっぱり今の天音が本当の天音だよな」

「…いやー…。むしろ、そっちの天音さんが本当の天音さんじゃないですか?トゥルーフォームの天音さ、もごもごもご」

「な、なななナジュ君!お口、お口チャック!」

天音は急いで、ナジュの口を塞いでいた。

…何やってんの?

たまにそれ言うよな、ナジュ…。

「…トゥルーフォームってどういうことだ?」

「良い質問です。それはですね羽久さん、秘めたる力を解放した真の天音さんのすが、もごもごもご」

「あー!あー!わー!『ムシ』!『ムシ』のせいだから!ぼ、僕をそんな別人に変えてしまうなんて、『ムシ』って本当に怖いねー!」

…焦りまくってる。

…大丈夫か?天音。

よく分からんが…やっぱり『ムシ』のせいで性格変わってたってことで良い、んだよな?