――――――…本当に、危ないところだった。

ナジュと天音を正気に戻してすぐ、急いでジュリス達のもとに駆けつけたら。

そこには、令月とすぐりに加えて、イレースまで参戦しており。

今にも、ジュリスとベリクリーデにトドメの一撃を入れようとしていた。

俺は咄嗟に時魔法で時間を止め、シルナがその魔法を強化してくれた。

更に、マシュリがその隙に、三人の身体から『ムシ』を取り出してくれた。

俺達三人のにわか連携の甲斐あって、ギリギリだけど、何とか間に合ったようだ。

俺が時魔法を解除した途端、令月達はその場に膝をついた。

「な…何?」

「どーゆうこと?これ…」

「…」

三人の視線は、床の上に注がれていた。

彼らの体内から取り出された、グロテスクな『ムシ』。

一匹でも気持ち悪いのに、三匹揃うとマジで…吐き気すら催してくる光景だ。

俺はさっきもう何度か見たから、まだマシだけど。

「…『八千歳』。何だろう。このミミズ」

「さー…?ルーデュニア聖王国には、随分でっかいミミズがいるんだね」

令月とすぐりは、興味深そうにミミズ…『ムシ』を眺めていた。

ちょっと待て、違う。ルーデュニア聖王国特有の巨大ミミズとか、そういうのじゃないから。

「…奇妙ですね。あれが体外に出た瞬間、記憶が変わりました」

こんな時でも、イレースは狼狽えることなく、冷静に状況判断。

さすがだよ。

「一体、これはどういうことです?」

「…話せば長くなるんだけどね…」

と、シルナ。

…さて、何処からどう説明したものかな…。

すると、そこに。

「おっと、もう終わりましたか」

「皆っ…大丈夫…!?」

治療を終えた、ナジュと天音が合流。

天音の回復魔法とナジュの再生能力のお陰で、胸の風穴も、切り落とされた腕の傷も塞がっていた。

…これで、全員揃ったな。

…リューイ以外は、だが。

「…良かった…」

俺は、ほっと胸をなで下ろした。

誰も俺とシルナとマシュリを襲ってこない。「お前らは何者だ」と武器を向けてくることはない。

ようやく、俺の知る仲間達が帰ってきてくれたのだ。

ホッとするなと言う方が無理だろう。

すると、すかさずナジュが俺の心を読んで、

「羽久さん。一人でホッとしてる場合じゃありませんよ。さっさと何があったのか、皆に説明してください」

と、言った。

「うっ…。わ、分かったよ…」

ちょっと感慨に耽りたかっただけだよ。

良いだろ、さっきまでずっと気を張ってたんだから。ちょっと肩の荷を下ろすくらい。