「リューイ君。君、さっき気になることを言ったよね」
と、シルナが尋ねた。
シルナの善意がどうとかいう話かと思ったが、そうではなく。
「『ムシ』のことですか」
「そう、それだよ」
あぁ、なんだそっちか…。
…って、『ムシ』って何だ?
虫?無視?蒸し…?
「それって、私の仲間達が揃って記憶をなくしたことと、何か関係があるの?」
「そうですか。やはり間に合わなかったようですね」
「間に合わなかった…?」
この物言い。もしかしてリューイは知ってるのか。
イレース達が、何で突然記憶をなくしたのか。
「…ちょっと、詳しく説明してもらおうか」
「勿論です。…全ての元凶は、熾天使セラフィム様にあります」
熾天使…セラフィム?
それって、リューイのご主人様である智天使の同僚だよな?
「三大天使様方は互いに話し合い、裏切り者の聖賢者殿を追い詰める為の策を講じました。…ですが、直接聖賢者殿に手を下すのは、本来の力を取り戻していない不完全な三大天使様方には不可能と判断されました」
「…」
「そこで、間接的な手段を使うことにしました。聖賢者殿を追い詰める為に…人間界にいくつもの『種』を蒔かれた」
…「種」…。
それが、さっき言ってた『ムシ』と何か関係あるのか。
「全てを指導したのは熾天使セラフィム様です。あの御方はまず、自らの眷属である大天使…ミカエルとラファエル…つまり私の同僚ですね。彼らを人間の姿に作り替え、人間界で聖賢者殿と敵対する国に送り込みました」
…えっ。
ちょっと…ちょっと待ってくれ。話の内容を噛み砕くのに時間がかかる。
自分とこの部下を人間の姿に変えて、シルナと敵対する国に送り込んだ…?
「ミカエルとラファエルは、その国の国王を扇動して聖賢者殿と敵対させ…」
「ちょ…ちょっと待て。なんかめちゃくちゃ覚えがあるんだけど…。それってもしかして…」
シルナと敵対する国って、それはつまり、具体的な名前を出すと…。
「あなた方の言う、アーリヤット皇国のことですね」
「やっぱり…!」
じゃあ、大天使達が扇動した国王って言うのは、ナツキ様のことだな?
急速に、心の中に抱いていた色々な疑問が繋がり始めた。
これまでずっと大人しかった、アーリヤット皇国のナツキ様が、突然ルーデュニア聖王国に牙を剥いたのも。
ルディシアやマシュリなどの刺客を送り込んだり、決闘を挑んできたりしたのも。
全ては、その大天使二人にそそのかされたから…?
「元々アーリヤット皇国の国王は、ルーデュニア聖王国の女王のことを目の敵にしていたのでしょう?その憎しみにつけ入れば、皇王殿を扇動するのは、それほど難しくありません」
「そうだろうな…」
じゃあ、ナツキ様は自分の意志でフユリ様に攻撃を仕掛けたんじゃなく。
天使達の勝手な意志に、望まずに振り回されてたってことなのか…。
…なんか、急激にナツキ様が哀れになってきたな。
と、シルナが尋ねた。
シルナの善意がどうとかいう話かと思ったが、そうではなく。
「『ムシ』のことですか」
「そう、それだよ」
あぁ、なんだそっちか…。
…って、『ムシ』って何だ?
虫?無視?蒸し…?
「それって、私の仲間達が揃って記憶をなくしたことと、何か関係があるの?」
「そうですか。やはり間に合わなかったようですね」
「間に合わなかった…?」
この物言い。もしかしてリューイは知ってるのか。
イレース達が、何で突然記憶をなくしたのか。
「…ちょっと、詳しく説明してもらおうか」
「勿論です。…全ての元凶は、熾天使セラフィム様にあります」
熾天使…セラフィム?
それって、リューイのご主人様である智天使の同僚だよな?
「三大天使様方は互いに話し合い、裏切り者の聖賢者殿を追い詰める為の策を講じました。…ですが、直接聖賢者殿に手を下すのは、本来の力を取り戻していない不完全な三大天使様方には不可能と判断されました」
「…」
「そこで、間接的な手段を使うことにしました。聖賢者殿を追い詰める為に…人間界にいくつもの『種』を蒔かれた」
…「種」…。
それが、さっき言ってた『ムシ』と何か関係あるのか。
「全てを指導したのは熾天使セラフィム様です。あの御方はまず、自らの眷属である大天使…ミカエルとラファエル…つまり私の同僚ですね。彼らを人間の姿に作り替え、人間界で聖賢者殿と敵対する国に送り込みました」
…えっ。
ちょっと…ちょっと待ってくれ。話の内容を噛み砕くのに時間がかかる。
自分とこの部下を人間の姿に変えて、シルナと敵対する国に送り込んだ…?
「ミカエルとラファエルは、その国の国王を扇動して聖賢者殿と敵対させ…」
「ちょ…ちょっと待て。なんかめちゃくちゃ覚えがあるんだけど…。それってもしかして…」
シルナと敵対する国って、それはつまり、具体的な名前を出すと…。
「あなた方の言う、アーリヤット皇国のことですね」
「やっぱり…!」
じゃあ、大天使達が扇動した国王って言うのは、ナツキ様のことだな?
急速に、心の中に抱いていた色々な疑問が繋がり始めた。
これまでずっと大人しかった、アーリヤット皇国のナツキ様が、突然ルーデュニア聖王国に牙を剥いたのも。
ルディシアやマシュリなどの刺客を送り込んだり、決闘を挑んできたりしたのも。
全ては、その大天使二人にそそのかされたから…?
「元々アーリヤット皇国の国王は、ルーデュニア聖王国の女王のことを目の敵にしていたのでしょう?その憎しみにつけ入れば、皇王殿を扇動するのは、それほど難しくありません」
「そうだろうな…」
じゃあ、ナツキ様は自分の意志でフユリ様に攻撃を仕掛けたんじゃなく。
天使達の勝手な意志に、望まずに振り回されてたってことなのか…。
…なんか、急激にナツキ様が哀れになってきたな。