「シルナ…。何とか出来るか?」

「…それしか助かる方法がないなら、やってみよう」

シルナは杖を握り締めて、頷いた。

まずは、聖魔騎士団の追跡から逃げなくては。

今捕まったら、俺達全員、不審者として塀の中にぶち込まれてしまう。

勿論、いつまでも逃げ回る訳にはいかないことも分かってる。

でも、少なくとも記憶を取り戻す方法を確立させないことには、仲間達のもとには戻れない。

悔しいが、ここは逃げるのが最善だろう。

「全員、私の周りに集まって」

シルナがそう指示した。

「何をするの?」

「このままここに居たら見つかってしまう。なら…もっと『遠く』に行く」

「遠くって何処?」

「異空間だよ、ベリクリーデちゃん」

と、シルナはベリクリーデの質問に答えた。

…まぁ、それしかないよな。

「生憎私は、それほど空間魔法は得意じゃないけど…。…raanspotr」

シルナが杖を振った途端、俺達は強い光に包まれた。