「忘れてた…?聖魔騎士団の皆が、俺達のことを…?」

「あぁ。シルナのことも羽久のことも、マシュリのことも覚えてなかった。…それから、ベリクリーデのこともな」

「えっ、ベリクリーデも?」

こくり、とベリクリーデが頷いた。

…仲間達が忘れたのは、俺とシルナ、マシュリの3人だけだと思ってたのに。

あいつら、ベリクリーデのことも忘れてるのか?

…何で?

「いくら俺がシュニィに訴えても、全く思い出してくれなかった。それどころか、ベリクリーデを侵入者とみなして、攻撃を仕掛けてくる始末でな」

俺達と同じじゃないか。

「ベリクリーデ…お前、よく無事だったな…」

「うん。ジュリスが助けてくれた」

…そうだったのか。

「ジュリスだけはベリクリーデのことを覚えててくれたんだな。良かった…」

ベリクリーデ一人だけだったら、きっとシュニィ達から逃げることは出来なかっただろう。

せめてジュリスだけは、ベリクリーデのことを覚えてて…。

「あー…。いや、実はそうじゃないんだ」

「…は?」

ジュリスは、気まずそうに視線を逸らした。

「どういうことだ?そうじゃないって…」

「いや…俺は恥ずかしながら、ベリクリーデのことを忘れててな…」

「は…?」

「まぁ、ベリクリーデのお陰ですぐに思い出したんだが…。そうじゃなかったら、俺は今頃、お前らのことを忘れたままだっただろうよ」

「…」

俺は、シルナと互いに顔を見合わせた。

…何が何だか分からないが。

どうやらジュリスとベリクリーデは、俺達の知らない情報を持っていそうだな。

「…ジュリス君。学院に駆けつけるまでに何があったのか、詳しく聞かせてもらっても良いかな?」

「あぁ。…ちょっと長くなるぞ」

良いよ。それで有益な情報が得られなら、何時間でも。