「保健室と、職員室か…。…どっちから先に行く?」

「職員室。まずナジュ君に会いに行こう」

と、シルナが言った。

「何でナジュが先なんだ?」

「読心魔法で、私と羽久の心を読んでもらうんだよ」

…あ、そうか。

「そうすれば、もしナジュ君が記憶を失っていたとしても、少なくとも私達が本当のことを言ってるって分かってもらえる」

その通りだ。

例えナジュも記憶をなくしていても、ナジュには読心魔法がある。

俺達が本当のことを言ってるって、分かってもらえるはずだ。

成程、それでナジュが先なんだな。

まずはナジュを味方につけようと。

今の状況だと、俺やシルナの言うことは信じてもらえないかもしれないが。

ナジュの言うことなら、イレースも元暗殺者組も、耳を貸すかもしれない。

「よし、そうと決まれば…。職員室に忍び込むか」

シルナとマシュリが頷いた。

自分の職場なのに、「忍び込む」という表現をしなきゃいけないなんて。

悲しくて泣けてくるな。