全校生徒にチョコレートを配った、その翌日。
まだ何も知らない、俺とシルナはというと。
「せっせ…せっせ…」
「…」
…またやってんぞ、シルナが。
昨日の今日で。またチョコ菓子を用意してる。
「…おい、シルナ」
「よしっ、全員分のチョコビスケットの用意、完了!」
完了、は良いから。俺の話を聞け。
「シルナ。聞いてるのか」
「え、何?」
「何、はこっちの台詞だ。お前こそ何やってるんだよ」
昨日、生徒にチョコ配ったばかりだろ。
それなのに、今朝また…今度はチョコビスケットを用意してる。
お前のチョコ菓子の在庫、どうなってるんだ?
「これね、朝食の時間に生徒皆に配ろうと思って」
無駄に目をキラキラさせながら答えてくれたよ。
見たら分かる。
「昨日配ったばかりなのに?」
「だって、ほら。昨日食後のおやつに袋詰めチョコを配ったら、皆凄く喜んでくれたでしょ?」
と、シルナ。
それはその通りである。
いつもならシルナがチョコを配布しても、「あーはいはいいつものね」みたいな反応なのだが。
抜き打ち試験で傷心中の生徒達にとっては、かなりの慰めになったらしく。
いつもより、ずっと生徒達に好評だった。
皆喜んで食べてたよ。
「チョコレートには、心の傷を癒やす力がある。人の心を癒やす力が。何よりも偉大な、心の清涼剤なんだよ…」
「…」
しみじみと何アホなこと言ってんだ?
良いか、チョコレートはそんな万能薬ではない。皆騙されるなよ。
しばらく食べてない食べ物を、久し振りに食べたら妙に美味しく感じるだろ?
あれだよ、あれ。
シルナじゃあるまいし、チョコレートくらいで元気いっぱいになるかよ。
「羽久が私に失礼なことを考えてる気がするけど…それでも、私はチョコレートの力を信じる…!」
あっそ。
「で、また配るのか?」
「うん!今日からしばらく、チョコ活をしようかなって」
…チョコ活?
何それ。
「一日に一回、チョコレートのお菓子を食べる。これがチョコ活だよ」
あぁ、そういうこと。
就活とか腸活のノリで、チョコ活?
そんなの始めるのはシルナくらいだ。
「朝にチョコを食べることで、糖分を補給して、気分良く一日がスタート出来るでしょ?」
「それはお前だけだろ?」
朝から甘いものなんて食べたくねーよ、って思う生徒も、絶対いる。
…それなのに。
「これも生徒達の心の健康を守る為。学院長の大事な務めだからね!」
とか言って。
シルナは、いそいそとチョコビスケットを食堂に運んでいった。
あーあ…。「けったいなこと始めるな」って、イレースに怒られても知らないからな。
まだ何も知らない、俺とシルナはというと。
「せっせ…せっせ…」
「…」
…またやってんぞ、シルナが。
昨日の今日で。またチョコ菓子を用意してる。
「…おい、シルナ」
「よしっ、全員分のチョコビスケットの用意、完了!」
完了、は良いから。俺の話を聞け。
「シルナ。聞いてるのか」
「え、何?」
「何、はこっちの台詞だ。お前こそ何やってるんだよ」
昨日、生徒にチョコ配ったばかりだろ。
それなのに、今朝また…今度はチョコビスケットを用意してる。
お前のチョコ菓子の在庫、どうなってるんだ?
「これね、朝食の時間に生徒皆に配ろうと思って」
無駄に目をキラキラさせながら答えてくれたよ。
見たら分かる。
「昨日配ったばかりなのに?」
「だって、ほら。昨日食後のおやつに袋詰めチョコを配ったら、皆凄く喜んでくれたでしょ?」
と、シルナ。
それはその通りである。
いつもならシルナがチョコを配布しても、「あーはいはいいつものね」みたいな反応なのだが。
抜き打ち試験で傷心中の生徒達にとっては、かなりの慰めになったらしく。
いつもより、ずっと生徒達に好評だった。
皆喜んで食べてたよ。
「チョコレートには、心の傷を癒やす力がある。人の心を癒やす力が。何よりも偉大な、心の清涼剤なんだよ…」
「…」
しみじみと何アホなこと言ってんだ?
良いか、チョコレートはそんな万能薬ではない。皆騙されるなよ。
しばらく食べてない食べ物を、久し振りに食べたら妙に美味しく感じるだろ?
あれだよ、あれ。
シルナじゃあるまいし、チョコレートくらいで元気いっぱいになるかよ。
「羽久が私に失礼なことを考えてる気がするけど…それでも、私はチョコレートの力を信じる…!」
あっそ。
「で、また配るのか?」
「うん!今日からしばらく、チョコ活をしようかなって」
…チョコ活?
何それ。
「一日に一回、チョコレートのお菓子を食べる。これがチョコ活だよ」
あぁ、そういうこと。
就活とか腸活のノリで、チョコ活?
そんなの始めるのはシルナくらいだ。
「朝にチョコを食べることで、糖分を補給して、気分良く一日がスタート出来るでしょ?」
「それはお前だけだろ?」
朝から甘いものなんて食べたくねーよ、って思う生徒も、絶対いる。
…それなのに。
「これも生徒達の心の健康を守る為。学院長の大事な務めだからね!」
とか言って。
シルナは、いそいそとチョコビスケットを食堂に運んでいった。
あーあ…。「けったいなこと始めるな」って、イレースに怒られても知らないからな。