…マシュリも分からないとなると、お手上げだな。

更に悪いことに…向こうには、ヴァルシーナがついてるんだよな。

あの女が一枚噛んでるというだけで、話が非常にややこしくなる。

何を企んでいるのやら…。

「やれやれ。だから、僕を会談の場に連れて行ってくれれば良かったんですよ」

俺の心の中を読んだのか、ナジュが呆れたように言った。

「腹の中でどんな深謀遠慮を巡らせてたって、僕が一瞬で白日の下に晒してみせたものを」

「そうだな…。やっぱりそうしてもらえば良かったと思ってるよ…」

「う、うん…。でも、ナツキ様はヴァルシーナちゃんを通して、ナジュ君の読心魔法のことを知ってるはずだから…。ナジュ君の同席を許してくれなかったと思うな…」

と、シルナ。

そうか…。やっぱ駄目か…。

次の矢…次の矢、ねぇ。

「何を仕掛けてくるつもりなんだろうな…?」

「分からない…。分からないけど、フユリ様とも聖魔騎士団のみんなとも連携して…。警戒しておくようにって言われたよ」

「…そうだな…」

警戒だって?…帰ってきてすぐ、どら焼き食ってた奴が何だって?

やっぱり、俺がしっかりしなければ…。

「…前途多難だなぁ…」

つまり、今回の「会談」で分かったことを要約すると。

まだ当分は、枕を高くして寝させてくれないってことだな。