―――――――…。




…「天使」達との話し合いの後。

彼女は、いつまでも気分が優れないようだった。

「…」

地上の大地を見下ろしては、浮かない顔で、無言で唇を噛み締めている。

そんな彼女の姿を見ることは、私には耐え難いことだった。

その上…このような報告をしなければならないとなれば、余計に気が進まない。

だが、言わない訳にはいかなかった。

「…智天使様」

「…どうしました?」

「冥界に、侵入者が現れました」

「…!どういう…ことです?あの場所に、魔物以外の生き物が立ち入れるはずが…」

「どうやら…想定外の出来事が起こったようです」

私は、万物を記録する一冊の本を開いた。

そこには、既にこの手で命を奪ったはずの、神竜バハムート族についての記載があった。