さぁ。どうしたものか。

時魔法で何とか出来るか?

軍団だというのに、てんでバラバラの行動を取りやがるものだから、行動が予測しにくくて仕方ない。

どのみち、やるしかない。

杖を構えようとした俺を、マシュリはそっと床に降ろした。

「マシュリ君…!良かった、無事だったんだね…!」

飛んできたマシュリを見て、シルナは喜びの声を上げた。

周り、ガイコツまみれじゃなかったら、もっと感動的な再会だったのにな。

このガイコツのせいで、全部台無しだよ。

「うん、ありがとう」

「大丈夫だよ、マシュリ君。ちょっと待っててね、今、このガイコツ部隊をなんとか…」

「皆、下がってて」

え?

そう言うなり、神竜バハムート形態のマシュリは、すぅ、と深く息を吸い込んだ。

身体中が焦げそうなほど、強い熱が爆発的に膨れ上がった。

次の瞬間、さながら超巨大火炎放射器の如く、マシュリが竜の炎を吐き出した。

「ほぇぁ!?」

これには、シルナも間抜けな声を上げて腰を抜かしていた。

思いっきり、味方も炎に包まれているが。

肌にチリチリとした熱気は感じるのに、不思議と触っても熱くない。

吸い込んでも、全く苦しくない。ほとんど無味無臭。

炎のはずなのに、まるでただの赤い水蒸気みたいだ。

しかし、それは俺達が現世の存在だから。

冥界の生き物であるガイコツ部隊には、効果覿面だったようで。

マシュリの吐き出した竜の炎に巻かれて、ガイコツ部隊は断末魔の悲鳴を上げていた。

ガイコツって…悲鳴、あげるんだ…。

あんなに苦戦していたのが嘘みたいに。

俺達が唖然としている間に、マシュリの竜の炎が、ガイコツ部隊を跡形もなく灼き尽くした。

わらわらと『門』に押しかけ、溢れ返っていたガイコツが、ようやく途切れた。

「今のうちに」

「…!はいっ…『門』を閉じます!」

吐月も呆気に取られていたが、マシュリに声をかけられて、ハッと我に返ったようで。

ガイコツ部隊が途切れたタイミングを見計らって、吐月はすぐさま『門』を閉じた。

かくして。

冥界から連れて帰ってしまった「お土産」は、マシュリの炎に焼かれて、残らず灰になったのだった。

…まぁ、元々骨なんだけど…。