冥界の時間では、どれほどの時間が経ったのか分からないが。
現世では、学院長先生方が冥界に旅立ってから、既に五日が経過していた。
五日!
一体、どれほど途方もなく長い時間だったことでしょう。
その五日の間、吐月さんはずっと、冥界と現世を繫ぐ『門』を開き続けていた。
不眠不休で血を捧げ、魔力を注ぎ続けているのです。
吐月さんは既に膝を突き、肩で息をしながら、その顔色は真っ青になっている。
声をかけても、返事をする余裕もないほどに。
…もう、これ以上は無理です。
吐月さんは『門』を維持するこれ以上『門』を開き続けたら、吐月さんが死んでしまう。
そして、既に限界を迎えているのは吐月さんだけではない。
「…吐月さん、私の、魔力を…使って…」
少しでも吐月さんの手助けをしようと、私は自分の魔力を吐月さんに譲渡しようとした。
けれど、ふわふわと覚束ない足元が絡まって、その場に倒れそうになった。
そんな私を、アトラスさんが支えてくれた。
「シュニィ…!しっかりしろ」
「だ…大丈夫、です…」
私が倒れている場合じゃないのに。
吐血さんはもっと辛くて大変なのに、こんなことで…。
「大丈夫じゃない。お前だって、もう魔力を使い果たしてるだろう」
「…そ、れは…」
アトラスさんに指摘されて、私は思わず口ごもった。
少しでも吐月さんの手伝いをしたくて、この五日間、私は自分の魔力を吐月さんに譲渡していた。
既に、ほぼ限界まで絞り尽くしている状態だ。
そのせいで、足元さえ覚束ない。目眩が酷くて、考えがまとまらない。
限界が近いという、何よりの証拠だった。
だけど、それは私に限った話ではない。
「私の…魔力を使ってください。私は、まだ…平気、ですから…」
倒れかけた私の代わりに、クュルナさんが名乗り出た。
そのクュルナさんだって、酷く顔色が悪く、疲労が色濃く滲み出ていた。
彼女もまた、私と同じように、吐月さんに魔力の大半を譲渡し続けている。
クュルナさんも限界なのだ。私に負けないほどに…。
そして…。
「クュルナさん、大丈夫です。僕が、代わりに…」
同じく満身創痍のエリュティアさんが、それでもクュルナさんの代わりを申し出た。
探索魔法で手助けが出来なかった代わりにと、エリュティアさんは積極的に、吐月さんの手伝いを申し出てくれた。
お陰で、彼の魔力もほぼ全て使い尽くされている。
それでも、これ以上クュルナさんに負担をかけまいと、自ら名乗り出てくれたのだ。
更に。
「俺の魔力も使ってくれ…。…まだ行ける」
「…」
そう名乗り出た無闇さんの傍には、月読さんが心配そうに見つめていた。
普段、月読さんが私達の前に姿を現すことはほとんどない。
その月読さんが、私達の前に姿を現してまで、心配そうに無闇さんを見守っている。
つまり、それだけ無闇さんが無茶をしているということだ。
吐月さんだけじゃない。
クュルナさんもエリュティアさんも、無闇さんも…そして、私も。
冥界の『門』を維持する為に、既に魔力の大半を失ってしまっていた。
…もう、これ以上は無理だ。
この五日間、もう何度も思ったことを、私はまた思った。
現世では、学院長先生方が冥界に旅立ってから、既に五日が経過していた。
五日!
一体、どれほど途方もなく長い時間だったことでしょう。
その五日の間、吐月さんはずっと、冥界と現世を繫ぐ『門』を開き続けていた。
不眠不休で血を捧げ、魔力を注ぎ続けているのです。
吐月さんは既に膝を突き、肩で息をしながら、その顔色は真っ青になっている。
声をかけても、返事をする余裕もないほどに。
…もう、これ以上は無理です。
吐月さんは『門』を維持するこれ以上『門』を開き続けたら、吐月さんが死んでしまう。
そして、既に限界を迎えているのは吐月さんだけではない。
「…吐月さん、私の、魔力を…使って…」
少しでも吐月さんの手助けをしようと、私は自分の魔力を吐月さんに譲渡しようとした。
けれど、ふわふわと覚束ない足元が絡まって、その場に倒れそうになった。
そんな私を、アトラスさんが支えてくれた。
「シュニィ…!しっかりしろ」
「だ…大丈夫、です…」
私が倒れている場合じゃないのに。
吐血さんはもっと辛くて大変なのに、こんなことで…。
「大丈夫じゃない。お前だって、もう魔力を使い果たしてるだろう」
「…そ、れは…」
アトラスさんに指摘されて、私は思わず口ごもった。
少しでも吐月さんの手伝いをしたくて、この五日間、私は自分の魔力を吐月さんに譲渡していた。
既に、ほぼ限界まで絞り尽くしている状態だ。
そのせいで、足元さえ覚束ない。目眩が酷くて、考えがまとまらない。
限界が近いという、何よりの証拠だった。
だけど、それは私に限った話ではない。
「私の…魔力を使ってください。私は、まだ…平気、ですから…」
倒れかけた私の代わりに、クュルナさんが名乗り出た。
そのクュルナさんだって、酷く顔色が悪く、疲労が色濃く滲み出ていた。
彼女もまた、私と同じように、吐月さんに魔力の大半を譲渡し続けている。
クュルナさんも限界なのだ。私に負けないほどに…。
そして…。
「クュルナさん、大丈夫です。僕が、代わりに…」
同じく満身創痍のエリュティアさんが、それでもクュルナさんの代わりを申し出た。
探索魔法で手助けが出来なかった代わりにと、エリュティアさんは積極的に、吐月さんの手伝いを申し出てくれた。
お陰で、彼の魔力もほぼ全て使い尽くされている。
それでも、これ以上クュルナさんに負担をかけまいと、自ら名乗り出てくれたのだ。
更に。
「俺の魔力も使ってくれ…。…まだ行ける」
「…」
そう名乗り出た無闇さんの傍には、月読さんが心配そうに見つめていた。
普段、月読さんが私達の前に姿を現すことはほとんどない。
その月読さんが、私達の前に姿を現してまで、心配そうに無闇さんを見守っている。
つまり、それだけ無闇さんが無茶をしているということだ。
吐月さんだけじゃない。
クュルナさんもエリュティアさんも、無闇さんも…そして、私も。
冥界の『門』を維持する為に、既に魔力の大半を失ってしまっていた。
…もう、これ以上は無理だ。
この五日間、もう何度も思ったことを、私はまた思った。