随分、物分かりの良い爺さんだと思っていたら…。
「待ち望んでいたっていうのは、どういう意味だ…?」
あんたは、マシュリの心臓の封印を守るのが役目なんじゃないのか。
その言い方じゃ、まるで誰かが封印を解くことを望んでいたような…。
「あの者の7つ目の心臓を封印する時…私は、この祠に呪い(まじない)をかけた…。何人たりとも、何者にも祠を侵されないよう…。秘密裏に隠したのだ…。
この場所の有り処を…竜の祠の場所を知っているのは、封印を守る私と…そして、マシュリ・カティア本人のみ…。
私はこの場所から動くことはない…。つまり、この場所に辿り着けるのは…マシュリ・カティアに選ばれた者達だけなのだ…」
マジかよ。
それは初めて知った。超重要な情報じゃね。
いかに俺達が、無謀なことをしていたのか、改めて認識した。
つまり、竜の祠の場所を知っていたのはマシュリだけで。
もし、あの『マシュリ』が俺達をここに導いてくれてなかったら、永遠に竜の祠には辿り着けなかったってことだろ?
…そう考えるとゾッとするな。
「この場所に誰かがやって来ることなど、永遠にないと思っていた…。
危険を犯して冥界に足を踏み入れてまで、あの罪を背負った憐れな子供を…救おうとする命知らずの者など、現れることはないと…。
例え6つの心臓が全て破壊されても…。マシュリ・カティアは決して、最後の心臓の秘密を明かすことなく…。決して誰にも知られることなく…。死んでゆく覚悟をしているものと…」
「悪かったな。命知らずの物好きで」
「あの者は、お前達をこの場所に導いた…。自らの秘密を明かし、最後の心臓を取り戻して生きることを望んだ…。
あの者がそう思えるようになったのは、きっとお前達と出会ったからだろう…。
この世に生まれた時、私以外の誰からも死を望まれていたマシュリ・カティアが…。自分の命を預けられるほどに信頼する者達に出会うことが出来たこと…。
こうして、命を懸けて竜の祠に辿り着き、マシュリ・カティアを生き返らせることを望む、勇敢な者達がやって来たことを…心から、嬉しく思う…」
…あぁ、そうかい。
そりゃ良かった。
「長生きした甲斐があったな」
「あぁ…。これからあの者は、お前達と共に、自分の居場所を見つけて生きていくのだろう…」
その通りだ。何も心配は要らない。
「あんたはこれからどうするんだ?…仲間の神竜族のところに戻るのか?」
「私のことなど、考える必要などない…。私は長く生き過ぎた。こうして、最後の役目も果たした…。しばし、長き眠りにつくとしよう…」
「…」
「さぁ…持っていくが良い…。これがマシュリ・カティアの7つ目の心臓。あの者の原罪にして、原点…。勇敢にも、この場所に辿り着いたお前達に託すに相応しい…。これで、思い残すことは…なに、も…」
老神竜は俺達に、マシュリの7つ目の心臓を託した。
それは、真紅に光る真っ赤な宝石のようだった。
これが…マシュリの最後の心臓。
この老神竜が…長い間、守り続けてきたモノ…。
「…確かに、受け取った」
マシュリに「生きて欲しい」という望みを託した、唯一の同族。
その思いを、決して無駄にはしない。
「…見て。祠が崩壊する…」
「あぁ…」
封印が解かれ、役目を終えた竜の祠は、光る粒子となって、溶けて消えていった。
祠が消える最後の瞬間、俺達は強い光に包まれた。
再び目を開けた時、そこには最早、祠も、あの老神竜も居なくなっていた。
まるで、全ての役目を終えて眠りにつくように…。
「待ち望んでいたっていうのは、どういう意味だ…?」
あんたは、マシュリの心臓の封印を守るのが役目なんじゃないのか。
その言い方じゃ、まるで誰かが封印を解くことを望んでいたような…。
「あの者の7つ目の心臓を封印する時…私は、この祠に呪い(まじない)をかけた…。何人たりとも、何者にも祠を侵されないよう…。秘密裏に隠したのだ…。
この場所の有り処を…竜の祠の場所を知っているのは、封印を守る私と…そして、マシュリ・カティア本人のみ…。
私はこの場所から動くことはない…。つまり、この場所に辿り着けるのは…マシュリ・カティアに選ばれた者達だけなのだ…」
マジかよ。
それは初めて知った。超重要な情報じゃね。
いかに俺達が、無謀なことをしていたのか、改めて認識した。
つまり、竜の祠の場所を知っていたのはマシュリだけで。
もし、あの『マシュリ』が俺達をここに導いてくれてなかったら、永遠に竜の祠には辿り着けなかったってことだろ?
…そう考えるとゾッとするな。
「この場所に誰かがやって来ることなど、永遠にないと思っていた…。
危険を犯して冥界に足を踏み入れてまで、あの罪を背負った憐れな子供を…救おうとする命知らずの者など、現れることはないと…。
例え6つの心臓が全て破壊されても…。マシュリ・カティアは決して、最後の心臓の秘密を明かすことなく…。決して誰にも知られることなく…。死んでゆく覚悟をしているものと…」
「悪かったな。命知らずの物好きで」
「あの者は、お前達をこの場所に導いた…。自らの秘密を明かし、最後の心臓を取り戻して生きることを望んだ…。
あの者がそう思えるようになったのは、きっとお前達と出会ったからだろう…。
この世に生まれた時、私以外の誰からも死を望まれていたマシュリ・カティアが…。自分の命を預けられるほどに信頼する者達に出会うことが出来たこと…。
こうして、命を懸けて竜の祠に辿り着き、マシュリ・カティアを生き返らせることを望む、勇敢な者達がやって来たことを…心から、嬉しく思う…」
…あぁ、そうかい。
そりゃ良かった。
「長生きした甲斐があったな」
「あぁ…。これからあの者は、お前達と共に、自分の居場所を見つけて生きていくのだろう…」
その通りだ。何も心配は要らない。
「あんたはこれからどうするんだ?…仲間の神竜族のところに戻るのか?」
「私のことなど、考える必要などない…。私は長く生き過ぎた。こうして、最後の役目も果たした…。しばし、長き眠りにつくとしよう…」
「…」
「さぁ…持っていくが良い…。これがマシュリ・カティアの7つ目の心臓。あの者の原罪にして、原点…。勇敢にも、この場所に辿り着いたお前達に託すに相応しい…。これで、思い残すことは…なに、も…」
老神竜は俺達に、マシュリの7つ目の心臓を託した。
それは、真紅に光る真っ赤な宝石のようだった。
これが…マシュリの最後の心臓。
この老神竜が…長い間、守り続けてきたモノ…。
「…確かに、受け取った」
マシュリに「生きて欲しい」という望みを託した、唯一の同族。
その思いを、決して無駄にはしない。
「…見て。祠が崩壊する…」
「あぁ…」
封印が解かれ、役目を終えた竜の祠は、光る粒子となって、溶けて消えていった。
祠が消える最後の瞬間、俺達は強い光に包まれた。
再び目を開けた時、そこには最早、祠も、あの老神竜も居なくなっていた。
まるで、全ての役目を終えて眠りにつくように…。