――――――…やれやれ。一時はどうなることかと思ったが。

『マシュリ』に導かれて、時空の裂け目に飛び込んだ先で。

そこで、共に冥界遠征に来たメンバーと再会した。

俺とベリクリーデが最初に来て、そのすぐ後にシルナとジュリスが。

そして、ほぼ同時にナジュとすぐり、令月とルイーシュも合流して。

その数分後、最後に、こうして天音とキュレムも到着した。

…全員、無事だった。怪我はなかった。

幸い、誰も単独行動はせず、何だかんだ当初の予定通り、二人一組で行動していたらしい。

まぁ、最初に決めたペア分けはぐっちゃぐちゃに掻き乱されてしまったけどな。

でも、全員無事に合流出来たのだから、結果オーライ。

ベリクリーデと一緒なのも安心だったけど、こうして仲間達が全員揃うと、安心感が桁違いだな。

これなら何でも出来る、今ならどんなことでも成し遂げられると、根拠のない自信が湧いてくるよ。

…それで。

「天音、キュレム…。お前達も、『マシュリ』に導かれたのか?」

最後に合流した二人に、俺はそう尋ねた。

他のペアには、既に同じ質問をしている。

そして、皆口を揃えて同じ返事をした。

「…!お前達『も』ってことは…羽久さん達も…?」

と、天音。

…やっぱりそうなんだな。

「俺達、さっきまで海底の竜宮城跡地を空き巣してたんだけどさ、そしたらそこでホラー映画リヴァイアサンに襲われてよ」

キュレムが説明してくれた。

お、おぉ…?

「あわや効果抜群アイアンテールを食らうところを、首輪つけた化け猫に助けられたんだ」

首輪つけた化け猫…。

…そうか。やっぱり『マシュリ』が…。

竜宮城とリヴァイアサンの下りは全然分からないけど、とにかくお前達も『マシュリ』に助けられたんだな。

それが分かっただけで充分だ。

「…ということは、やっぱり全員…『マシュリ君』に助けられて、導かれて、ここに集まったんだね」

シルナが穏やかな微笑を浮かべて、そう言った。

…あぁ、その通りだ。

俺達がこうして、また仲間と再会出来たのは…あの『マシュリ』のお陰なのだ。

一体何がどうなって、そんなことになったのか…説明は出来ないけどな。

ようやく全員揃ったのだから、離れ離れになってる間にどんなことが起きたのか、詳しく話を聞きたいところだが…。

…残念ながら、そんなことをしている時間の余裕はなさそうだ。

こうしている間も、帰り道の『門』を開いている吐月は、血と魔力を消耗しているはず。

別行動中してる間に、かなり時間を食ってしまった。

合流することは目的じゃないのだ。

あくまで最終的な目的は、竜の祠を見つけて、マシュリの7つ目の心臓を取り戻すこと。

これを達成しないことには、帰りたくても帰れない。

…急がなくては。