覚悟を決めるしかなかった。

「『マシュリさん』…。必ず生き返らせるから。7つ目の心臓を取り戻して、必ず迎えに来るから…!」

それまで待っていて欲しい。

この恩は、必ず返すから。

『マシュリさん』は何も答えず、代わりにこちらに視線を向けた。

何も言わないけど、彼が僕の言葉に頷いてくれたような気がした。

…ごめんね。ありがとう。

僕とキュレムさんは、水竜と『マシュリさん』にくるりと背を向け。

時空の裂け目へと、一目散に走り出した。

何処に繋がっているのかは分からない。

でも、不安はなかった。

だって、『マシュリさん』が僕達を導いてくれたのだ。

仲間が導いてくれるのに、恐ろしいことなんて微塵もない。




「…!」

「…っ、今度は、何だ…?」

赤黒い裂け目に飛び込むなり、強い光に包まれ。

辿り着いた先は、今度は水の中ではなく、陸地だった。

しかも、何処かの森の奥のような場所。

そこには、植物に覆われた、古ぼけた洞窟の入り口が待っていた。

…ここは…一体。

しかし、そんなことより僕を驚かせたのは。

「良かった。…無事でしたね」

「あっ…!ナジュ君…!」

聞き覚えのある、待ち望んでいた声が聞こえて。

急いで顔を上げると、こちらに手を差し伸べるナジュ君の姿があった。

…良かった。ナジュ君も無事だった。

僕は、ようやくはぐれていたパートナーと再会した。

ほら、ね?『マシュリさん』が、仲間達の場所に導いてくれた。

お陰で僕達は再び、一緒に冥界に来た仲間達と再会出来たのだ。