あれを通ったら、きっと別の場所に繋がってるんだろうね。

「まさか、あの場所に飛び込めと?」

「そういうことみたいだね」

きっと『マシュリ』は、ここに誘導したかったんだ。

「行け」と促すように、『マシュリ』は裂け目の横で、こちらをじっと見つめていた。

…うん。分かった。

「ルイーシュ、行こう」

「良いですよ。再び化け物の胃の中に飲み込まれたら、さすがにもう一回脱出する気力はないんで。そうなったら、今度こそ諦めてたんぱく質になりそうです」

そっか。

「だったら、何処に繋がっているか分からなくても、別の場所に飛び込みましょう」

「そうだね。僕もそれが良いと思う」

「運が良かったら、竜の祠が見つかるかもしれませんね」

さぁ、そこまではどうかな。

でも、そうだったら大助かりだね。

僕とルイーシュは、共に時空の裂け目に飛び込んだ。






…強い閃光に包まれた、その先で僕達を待っていたのは。

「…!ここは…」

「…また、別の場所に出ましたね」

今度は、生き物の身体の中じゃなさそうだね。

屋外だ。

茂った森の中に、荘厳とした古い洞窟の入り口が、そこにあった。

…ここが、『マシュリ』が僕達を連れてきたかった場所?