「私が未熟なばかりに、いつもあなた方に頼ってしまって申し訳ありません。どうか、この国の未来の為にご助力ください」

「そんな…。顔を上げてください」

その程度、頼まれなくとも。

「私達聖魔騎士団は、もとより祖国を守る為の騎士なのです。あなたはただ、私達に命じれば良い」

祖国を守る為に力を尽くせと。

アーリヤット皇国と敵対することになっても、祖国の為に戦えと。

ただ一言、そう命じるだけで良い。

…それに。

「アーリヤット皇国には、彼女…ヴァルシーナちゃんがついています」

ナツキ様が今回の騒動を起こしたのは、ヴァルシーナちゃんにそそのかされたからでもある。

つまり、遠回しに…こうなったのは私のせい、でもあるのだ。

「彼女が関わっている以上、これは私の責任でもあるんです。どうか、一人で背負わないでください」

私がいつも、羽久に言われてることだね。

羽久が聞いたら、「お前が言うか」って言いそう。

羽久はいつも、こんな気持ちで私にこう言ってるんだなぁって。

何だか新鮮な気分。

「シルナ学院長先生…。…ありがとうございます」

「何かあれば、いつでも何でも相談してください」

「はい」

頷いて、フユリ様は安心したのか、ようやく少し微笑んでみせた。

良かった。ずっと険しい顔してたから。

「兄の言う『次の矢』が何なのか…。私も神経を尖らせて、出来る限り探っておきます。何か分かれば、すぐに情報を共有させていただきます」

「はい。こちらも…いつ何が起きても対処出来るよう、準備しておきますね」

「宜しくお願いします」

ナツキ様の真意はどうあれ。

私達としても、そう簡単にナツキ様の思惑にハメられる訳にはいかない。

警戒だけは怠らないようにしなければ。








…で、それはそれとして。

久し振りに頭を使ったから、脳みそが糖分を必要としてるよね。