―――――――…冥界に飛び込んでみたら、辿り着いたのは無人島。

しかも、一緒に来たはずの天音さんとはぐれ、代わりとばかりにすぐりさんとペアを組むことになってしまった。

そんな僕とすぐりさんは、現在、無人島のど真ん中にあった、何かの研究施設…らしき建物の中にいた。

その建物の、医務室?らしき部屋に入ってみると。

それはもう、出るわ出るわ。お宝の山ですよ。

「そーいえばさー、俺とナジュせんせーがこうして、二人きりで作業するなんてさ」

「はい?」

「いつぞやを思い出すよねー。ナジュせんせーがむぼーな読心魔法の訓練してた時」

「…あー…。ありましたね、そんなこと…」

思い出させないでくださいよ。僕にとっては、嫌な記憶なんですから。

リリスにたっぷり怒られたり、僕自身も記憶を失ったりして大変だったなぁ。

まぁ、アレのお陰で読心魔法の弱点を克服出来たので、必要な苦労だったということで。

「まさかこんな形で、またナジュせんせーときょうどーさぎょーすることになるとはなー」

「嫌でしたか?」

「別に?知らない人より良いよ。やりやすくて」

同感ですよ。

お互い手の内を知っている者同士なら、最低限の連携は出来ますからね。

「それにしたって、これはよそー外だったね…。何?これ」

すぐりさんは、戸棚の下に転がっていた、変色した薬漬けの瓶を手に取った。

うわぁ。本物ですか、それ。

「ホルマリン漬けの…生き物ですかね。魔物でしょうか」

「カエルとかかなー?」

カエルだったらまだ可愛いですけど、ここは冥界なんで。

多分カエルは居ないでしょうね。

「うーわ、他にまだあるよ。いっぱい」

「うわぁ…。ある意味壮観ですね」

ガラスの割れた戸棚の中に、ホルマリン漬けの瓶がズラリ。

いずれも黒く変色していて、「中身」は見えなかった。

想像するしかないけど、多分ろくなものじゃないでしょうね。

こんな気持ち悪いものばっかり見ているせいだろうか。さっきからずっと、酷い胸騒ぎが消えない。