―――――――…なんて人達だ。信じられない。

僕は、思わず目を疑ってしまった。

何故彼らが…学院長が、羽久が…聖魔騎士団の魔導師達が。

こんなところに…冥界なんて場所に、足を踏み入れているんだ。

「あの人達…何でこんなことを…」

「…言ったでしょう?彼らは諦めていないのよ。…あなたのことを」

「…!」

スクルトはそう言い、僕は言葉を詰まらせた。

…諦めていない、だって?

なんて人達なんだ。…信じられない。

僕は今一度、先程と同じことを思った。

だってそうだろう。僕みたいな『半端者』ならともかく、現世の生き物である彼らが、冥界にやって来るなんて。

正気の沙汰とは思えない。

怖くないのか?冥界の…煉獄の炎に灼かれることが。

命知らずにも程がある。

「…馬鹿だよ。いくらなんでも…馬鹿過ぎる…」

「そうね。あなたの仲間達だわ」

「…何で、こんなことを…?」

僕はもう…死んだはずだ。それは、彼らの目にも明らかだったはず。

それなのに、何故彼らが冥界にいる?

まさか、僕を殺したのは神竜族だと思って、彼らに復讐する為に…?

そんな無謀なことを…。僕はそんなことは望んでいない。

仇討ちなんて、復讐なんて、一度も望んだことはない。

それに…そもそも、僕を殺したのは犯人は、神竜族では…。

…しかし。

「復讐などではないわ。彼らが望んでいるのは」

スクルトは、僕にそう言った。

「…じゃあ、何を?」

「言ったでしょう。諦めていないのよ、彼らは。…あなたのことを」

「僕の…ことを?」

それって、どういう…。

少し考えて、そして、僕はその真意に気づいて八ッとした。

…まさか、あの人達は。

「…気づいたようね、マシュリ」

「そんな…馬鹿な…」

あの人達は…。

冥界に残してきた…僕の7つ目の心臓を取り戻しに行ったのか?

その考えに思い当たって、僕は背筋が冷たくなった。