「見てみろよ、上。太陽の光なんて全然見えないぞ」
キュレムさんは、上を指差してそう言った。
うっ…。
「さながら深海だな…。深海なのに、何でこんなに視界がクリアなのか知らねぇけど…」
太陽の光が届かないから、深海は真っ暗らしいもんね。
ここには太陽の光なんて全く差し込まないのに、それなのに、深海のように真っ暗で何も見えないようなことはない。
遠くまでは見えないけど、視界はほぼ、地上にいる時と同じだ。
「それに、水圧?浸透圧?的な理由で、深海から突然上に上がったら、死ぬんじゃねぇの?」
「そ、そういえば…」
「ごめんな。俺、理科の授業、サボるか寝るか理解出来てないかのどれかだったから、分からん」
大丈夫。僕も分かってない。
でも、深い水の中から突然浮上したらいけない、っていうのは僕も聞いたことがある。
耳の中がバリバリ言うんだよね。水圧で…。
つい、浮上したくなるけど…。むしろこの状況だと、水の中の方が安全なのでは…。
それに…運を天に任せて浮上したとして、そこに地上があるという保証はない。
何せ、ここは冥界なのだから。
何度も言うように、現世の理屈は通用しない。
「分かってると思うが、浮き上がるのは簡単だが、もう一回潜るのは大変だぞ」
「…そうだよね…」
さすがに、僕も素潜りの特技はないよ。
経験のある人なら分かると思うけど、素潜りって、動きは凄く簡単そうなのに、実際にやってみると相当難しいよ。
何度も練習して、訓練して身につくものであって。
なかなか、初めてのチャレンジで上手く行くものじゃない。
どんなに頑張っても、必死に足をバタバタさせるだけで、全然潜れないの。
人間の身体って、基本的に浮き上がるように作られてるからね。
ろくに泳げない、潜れないのに、不用意に動き回るのは危険か…。
「でも…じっとしてる訳にもいかないよ。こちらから笛を鳴らして助けを求めることは出来ないし…」
「何なら、こんな場所じゃ、誰かが笛を鳴らしてたとしても聞こえないもんなぁ」
そうだね。
もしかしたら、既に誰かか笛を鳴らしているかもしれない。
湖の底にいるせいで、全然聞こえてないだけで…。
だとしたら…何とかしないと不味いよね。
誰だって、まさか僕らが湖の底にいるなんて思わないよ。
「提案なんだけど、少し、水底を探検してみない?何か見つかるかもしれない」
ここでじっとしているよりは、せめて周囲の探索くらいした方が良いと思うんだ。
「そうさなぁ。他にやるべきこともないし…。…良いよ」
「ありがとう」
「海底探索かぁ…。少年なら心踊るんだろうけど、リアルだと不気味以外の何物でもないな…」
それを言わないで。夢がなくなるから。
キュレムさんは、上を指差してそう言った。
うっ…。
「さながら深海だな…。深海なのに、何でこんなに視界がクリアなのか知らねぇけど…」
太陽の光が届かないから、深海は真っ暗らしいもんね。
ここには太陽の光なんて全く差し込まないのに、それなのに、深海のように真っ暗で何も見えないようなことはない。
遠くまでは見えないけど、視界はほぼ、地上にいる時と同じだ。
「それに、水圧?浸透圧?的な理由で、深海から突然上に上がったら、死ぬんじゃねぇの?」
「そ、そういえば…」
「ごめんな。俺、理科の授業、サボるか寝るか理解出来てないかのどれかだったから、分からん」
大丈夫。僕も分かってない。
でも、深い水の中から突然浮上したらいけない、っていうのは僕も聞いたことがある。
耳の中がバリバリ言うんだよね。水圧で…。
つい、浮上したくなるけど…。むしろこの状況だと、水の中の方が安全なのでは…。
それに…運を天に任せて浮上したとして、そこに地上があるという保証はない。
何せ、ここは冥界なのだから。
何度も言うように、現世の理屈は通用しない。
「分かってると思うが、浮き上がるのは簡単だが、もう一回潜るのは大変だぞ」
「…そうだよね…」
さすがに、僕も素潜りの特技はないよ。
経験のある人なら分かると思うけど、素潜りって、動きは凄く簡単そうなのに、実際にやってみると相当難しいよ。
何度も練習して、訓練して身につくものであって。
なかなか、初めてのチャレンジで上手く行くものじゃない。
どんなに頑張っても、必死に足をバタバタさせるだけで、全然潜れないの。
人間の身体って、基本的に浮き上がるように作られてるからね。
ろくに泳げない、潜れないのに、不用意に動き回るのは危険か…。
「でも…じっとしてる訳にもいかないよ。こちらから笛を鳴らして助けを求めることは出来ないし…」
「何なら、こんな場所じゃ、誰かが笛を鳴らしてたとしても聞こえないもんなぁ」
そうだね。
もしかしたら、既に誰かか笛を鳴らしているかもしれない。
湖の底にいるせいで、全然聞こえてないだけで…。
だとしたら…何とかしないと不味いよね。
誰だって、まさか僕らが湖の底にいるなんて思わないよ。
「提案なんだけど、少し、水底を探検してみない?何か見つかるかもしれない」
ここでじっとしているよりは、せめて周囲の探索くらいした方が良いと思うんだ。
「そうさなぁ。他にやるべきこともないし…。…良いよ」
「ありがとう」
「海底探索かぁ…。少年なら心踊るんだろうけど、リアルだと不気味以外の何物でもないな…」
それを言わないで。夢がなくなるから。