次の日の朝。

悩んだまま寝落ちした私は、ママに呼ばれて慌てて着替えて階段を降りた。
大急ぎでパンをかじって、玄関に向かう。
待ってたのは、晴斗だった。

「おはよー、華。迎えに来たよ」
「晴斗、迎えに来るなんて、どしたの。部活の朝練は?」
「部活?サボった。可愛くてにっぶい華に、変な虫がついたらヤダなーと思って」

晴斗は口を尖らせて、すねたみたいに言う。
からかわれてるみたいで、ちょっとムカつく。

「はいはい、鈍くて悪かったですね!さー学校行きますよ!ていうかサボりはダメでしょ」

ムカつき半分、照れ半分。
ぐいぐいと晴斗の背中を押して、家の外に追い出した。

学校までの道を歩きながら、晴斗に聞いてみる。

「ねえ、昨日のこと、本気……なの?どこまで?」
「どこまでって、全部だよ。最初から最後まで全部、本気だよ。ずっと前から、俺も雪斗もお前のこと好きだし」

当然という口調で晴斗が言う。

「好きだから、俺と雪斗の2人の間では抜けがけなしって約束して、お前のこと見てたの」
「ええー……いつから?」
「中学入る前から」

そんなに前から!?
全然気づいてなかった……。

「でもさあ。俺たちの気持ちに気づく前に、お前がうっかり他の男と付き合っちゃったらねえ……。意味ないでしょ。それはすげー困る。でも華、そういうことしそうだから」
「まあ、否定はできないけど……」

だろ?と得意げな顔をされる。

「だったらってことで、鈍い華ちゃんにもわかるように、俺らもちゃんと好きって言うことにしました」
「むむー!そんな鈍い鈍いって連呼しなくても」
「ホントのことじゃん」

まあそうなんですけど!
でも仕方ないじゃん!
すっかりイケメンになった2人に、好きだって思われてるなんて。想像できるわけがないよ!

私は心の中で叫ぶのだった。