私が2人を見つめると、晴斗は笑顔になって、雪斗は顔をそらした。

あっ、この晴斗の顔……。
みんなに人気の、すごく可愛くて甘い笑顔。
でも、この笑顔の正体を私は知っている。
これホントは、晴斗が機嫌悪くなった時の顔なんだ。
だから学校で女子に笑顔を振りまいている時の晴斗は、実はとっても機嫌が悪い。

「華は、なーんにもわかってないお馬鹿さんだねえ」

極めつけににっこりしたあと、ぺしんとデコピン。
食らった私はおでこを押さえた。

「いたいっ!?なんでなんで!?」
「雪斗ぉ。このお馬鹿さんさ、鈍すぎてちゃんと言わなくちゃダメみたいなんだけど、俺もう言ってもいい?」

だから、何を!?
雪斗の方に視線を向けると、こっちは苦虫を千匹くらい噛み潰したような顔だ。
でもこれでいて、雪斗は怒ってるわけじゃなくて恥ずかしがってるだけなんだけど。

「いいよ……。このままだと、どこの誰に華をかっさらわれるかわからねえし」

雪斗までどうしたの?
かっさらわれ……え?なんのこと?

あわあわしながら2人を見ていると、とびっきりの笑顔になって晴斗が私に言う。

「他の男と付き合うとか、もうジョウダンでも言うなよ。俺たち、華のこと好きだから」
「俺たちって……晴斗と雪斗が!?」
「やっぱりわかってなかったのか。他に誰がいるの?」

雪斗を見ると、やっぱり無言でこっくりとうなずく。
すごく、真剣な顔。
どうやら冗談じゃないみたい。

でも、でも!
もだもだしていると、晴斗が私の両肩にぽんっと手を置いて、とびっきりのにっこり笑顔になる。

「はーな。これから、ちゃーんと教えてくから、しっかりわかって?」

そんな急に言われても!?
2人を前に、私の心臓はひたすらドキドキと高鳴りつづけていた。