「…着替え、終わりました。」

着替え終わったあと、恐る恐る襖を開けた。

すると、そこには家臣の姿は無く、新庄1人のみ残っていた。

「終わったか。ここに座れ。」

「…はい。」

「…不安そうだな。無理もないが。」




「そなたは……何故医者に?」

新庄は私にそう聞くと、両手で筒茶碗を持ち、お茶を啜った。その仕草は、まるでアンドロイドのように動きに無駄がなく、綺麗だった。

「…両親に、そう言われたので」

「ふむ…では、己の意志では無いということか。」

「…私の意志など、私が貫いて良いものではありません。」

私のその応答に、新庄はお茶を啜るのをやめた。

「…?」

少し疑問に思った私は、顔を上げて彼を見た。
すると、少し驚いたような表情をしていた。





「なるほど………これは持論であるが、聞いてくれるか?」



新庄の長い髪がゆらりと揺れた。



「そなたは今、意志は自身で貫くものではないと言ったな。だが、私はそうは思わない。意志は貫くためにあるのだ。」

「…貫く、ために?」



新庄は微笑しながら小さく頷き、話を続けた。




「それは、決して他人に干渉されてはならないものだ。」




新庄は、そう言いながら私に近づき、私の髪に触れた。
少し驚いて彼を見ると、



「あぁ、すまない。埃が付いていたから気になった。」




「他人に、干渉って、」