「……はい、では、こちらの事務所にご送付ください。……はい、間違いございません。よろしくお願い致します……失礼します。」

私は、電話を切った。
そして、目の前の資料に目を通し、手元のルーズリーフにメモをとる。

「……鎖国体制、か。」

私はその後、歴史学者となった。
あれから3年の月日が経った。

たまに、……あの出来事は夢だったのではないかと思う時もある。

だけれど、それを否定する事実がある。

わたる様からもらった簪は、確かに形を残し、私の髪を飾っている。
これは、私が江戸で月日をすごしたことを証明する事実だ。

「ん……?この文献は初めて見つけた……」

私は、資料保管庫からひとつの古びた文献を見つけた。






















「!!!!!これ、新庄、竟の、日記、、」



私は直ぐにその文献を開いた。


手袋を装着し、メガネをかける。


彼の日記には、古文で書かれていたが、私が3日かけて独自に翻訳をした。




千七百三年

題目 愛人

愛らしい女性モモコと私は、男女の間柄となり、南の平野へと出掛けた。彼女に美しい景色を見せてあげたかった。
私は彼女の頭痛のことを、終始気にしていた。

私は、彼女が好きだった饅頭を贈った。
そして、彼女に似合いそうな簪も贈った。
饅頭を美味しそうに頬張り、簪も非常に似合っていた。

実に愛らしいお方だ。

私たちは愛を伝え合った。
だがその瞬間、彼女は姿を消した。
遂に別れが来たのだと確信し、私はその場に立ち尽くして涙を流した。
だけれど、彼女に「ずっと笑顔でいてくれ」と言った限りは、私も病み続けるわけにはいかない。
私は生涯、彼女を想うだろう。
彼女は、今頃何をしているだろうか。
笑顔でいてくれたら善いなと、それだけを思う。
愛している。

新庄竟