辺りが眩い光に包まれた。
















目を開くと、わたる様はもう何処にもいなかった。








あるのは、私が働いている病院の建物だった。


















「え……」

私はしばらく動けなかった。



どうして、あんなに、さっきまで、あんなに、私は幸せだったのに。








___わたる様、わたる様はどこにいるの?





私は、いつの間にか、泣きながら彼の名前を呼んでいた。

「わたる様、……わたる様、…どこ、どこにいるの、」

いくら問いかけようと、彼からの返事は無い。

「わたる、さま……」

私はその場に膝から崩れ落ち、地面に顔を伏せた。













カラン…と何かが地面に落ちる音がした。
















「簪……わたる様から、貰った、」

彼から貰った簪が、跪いた衝撃で外れたようだった。

私はそれを拾い上げると、また大声で泣いた。







「もう1回、もう1回タイムスリップすれば、また、会える、」

私は、フラフラになりながらあの日辿った道通りに進んだ。












___だが、あの時迷い込んだ住宅街はどこにも無かった。













「いやだ……嫌だよわたる様、嫌だ。嫌だ嫌だ。











まだ、ちゃんと言えてない……




助けてくれてありがとうって、


私を見つけ出してくれて、
私を変えてくれて、
幸せを教えてくれて、
ありがとうって……


















まだ、いっぱい大好きだってこと、伝えてないよ……」