新庄は、しばらく固まっていた。

「……好き、好きとは、つまり私と男女の関係になりたいと、そういう意味か?」

「はい。」

「……そうか。そうであったか。……」


新庄はしばらく考えたあと、また口を開いた。



「……私も、貴方のことは好いている。私も、貴方にいつ想いを打ち明けようか迷っていた所存だ。……だけれど、」

新庄は、私の手を取った。



「武士として情けないことを言うようだが、貴方との別れがいつになるか、分からない。明日かもしれないし、1年後かもしれぬ。……はたまた、今すぐかもしれぬ。」

少し俯いた新庄は、私を握っている手に少し力を込めた。

「……別れが恐ろしいから、親密な関係にはなりたくないのだ。」

「……別れが、」

「あぁ。私は10年前に、母親を病気で亡くした。今でも、その胸の痛みを覚えている。父親は健在だが、次に争いがあれば命が危うい状況でもある。……大切な人を失うことを、心のどこかで恐れているのだ。」

それでも……
新庄はそう言うと、顔を上げた。

それから新庄は、私の腕に手を伸ばすと、グイと引っ張った。


「貴方をこうして腕に収めたいと、いつも思っている。……出来ることなら、命運尽きる瞬間までを、貴方と共にしたい。」

「……それって、」








「契りを交わそう。モモコ。」