「…住吉、血の繋がりだけが物を言う訳では無い。」

「…。」

「私たちが過ごした10年は、本物の家族のようだっただろう?」

「……はい。」

「お前は私の大切な弟だ。家族だ。」

「ですが、俺は出来損ないです。兄殿の剣術や頭脳は素晴らしいものですが、俺は真逆です。そんな俺が、兄殿のお側にいる資格はありません。」


「うむ。では、今ここでその資格を与えよう。」



住吉は、新庄のその言葉で、顔を上げた。

「スミ、お前は自覚していないようだな。自身の剣術や頭脳について。……仲間を身代わりにした私とは、大違いの精神力も持っている。」

「………いいえ兄殿。あれは、兄殿の家臣達が、兄殿をお守りするために」

「もう良いんだスミ。……お前の剣術は私が認める。頭脳だってそうだ。スミには、私には無いものを多く持っている。その凹凸を補っているのが私たち兄弟だ。」

「例えば、スミは瞬発力に長けている。そして、敵を上手く誘惑させる頭脳と言葉も持っている。これも、私にはない力だ。」

住吉は涙を流した。







___「我が弟よ、私を兄と呼べ。」