「おはよう。加減は如何か?」



それから更に半月後、いつものように新庄が部屋に入ってきた。

「食事を持ってきた。」

「わたる様、おはようございます。」

半月が経つと、私はようやくまともに話すことが出来るようになった。
ただ、頭の傷が深く、後遺症として頭痛が残ってしまい、自力で起き上がることが苦痛だった。

「粥に卵を少し入れた。食えそうか?」

「はい、ありがとうございます、」

私が身体を起こそうとすると、新庄は慌てて私の身体を支えた。

「無理に起きなくていい。私が起こして支える。」

新庄は、いつも私の首に手を添えて、食事がしやすいように支えてくれている。

「…どうだ。まだ食えそうか?」

「はい、美味しいです」

彼は、私の着替えや食事、鎮痛薬の管理まで全てを1人でこなしているようだった。











寝たきりになってひと月が経つ頃、
私はやっとの思いで立ち上がることに成功した。
新庄の支え無しではまだ難しいが、徐々にリハビリを重ねていった。

「まだ大丈夫なのか、?そろそろ辞めにしよう。」

廊下をゆっくりと歩きながら、新庄はそう言った。

「いえ、まだ…」

廊下の曲がり角を曲がろうとした瞬間、頭痛が悪化し、足の力が抜けてしまった。

「うっ…」

「モモコ殿、今日はこれで終わりにしよう。無理は良くない。」

「ごめん、なさい」

「謝るな。なにも悪いことはしていない。」

新庄は、私を姫抱きにすると、元きた道を辿り、部屋へと戻った。



その道中、廊下の掃除をしていた住吉に鉢合わせた。


「兄殿、!……あ…どうされたのです、?」

「少し頑張りすぎたみたいでな。」

「左様でございますか…。お大事に。」

「…ありがとう、ございます。…」



「…兄殿、後ほど、お話が」

「む…?善いが、どうした?」

「……。」

長年一緒にいると、考えていることは大抵分かるものだった。

「…うむ。承知した。ここで待たれよ。モモコを運ばなければならない。」

「はい。ありがとうございます。」