__若い女の肉はな…高く売れるんだよ…__


_医者の女の肉だ。こりゃあ一生食っていけるさ。_






「あ、もう起きたの?」





私は再び意識を取り戻した。
だが、目の前で私の顔を覗き込んでいるのは知らない男。……のようだが、どこかで見たことがあるような気がする。
その男の片手には大きな刀があった。


「意識がないうちに肉片にしてやろうと思ったのになぁ。そっちの方が痛くないだろ?」


どうやら、敵は何人もいるようだ。
目の前にいる男の後ろからも話している声が聞こえた。

「いやーそれにしても、血だけでも50両は儲かりそうだよ。」

頭がフワフワとして上手く働かないが、恐らくこの人たちは、人肉を売りさばいて商売をする裏商人だ。

警察に…いや、幕府に知られればどうなるのだろうか。



いやいや…自分が危うい状況なのに、どうして他人の心配をしているのだ。



恐らく、このまま再び意識を失えば二度と目覚めないだろう。直感でそう感じた。

ドクドクと頭が疼く。
鈍痛はやむことも無く、私の頭を容赦なく打ち付ける。


遠くから馬の走る音がした。
__西方浄土からのお迎えだろうか。






「動くでない。さもなくば貴様の頸を撥ねる。」

馬の蹄の音は止み、聞き慣れた声がした。