「スミ!皆の者!無事か!」

「わたる殿!大変でございます!城の中に、裏商人がいたようで、」

「なんだと…?」

住吉は、新庄に紙切れを渡した。



_異界から参った女子、使わせていただく_



新庄の額には汗が流れていた。

「ッ……まずい、モモコが」

新庄は駆け出した。

草むらに隠れているモモコを救い出すために。















「モモコ!」

新庄は叫んだ。

彼の言った通りに身を潜めたモモコは、もうどこにもいなかった。





「これは…」





茎の折れた桃色の花だけが、芝生の上で息絶えていた。