「そろそろ夜も更ける頃だ。戻ろうか。」

新庄は、再び私に手を差し伸べてきた。

2人で手を繋ぎ、元来た道を辿る。

私は、その場で足を止めた。



「む、?どうした?」

「あの…わ、わたる様、…私、」

新庄は、私を心配そうな表情で見つめている。

「……えっ、と」





「聞くぞ。」






彼の言葉はいつも優しい。

元の世界での周囲の人々は、吃る癖のある私のことを嫌悪していた。



_言いたいこともハッキリ言えないなんて。_



そうやって罵られてきた。

だけれど新庄は違う。私が出そうとしている言葉にそっと寄りかかるように見守ってくれている。



「わたし、」




____私が、次の言葉を言い出そうとした正にその瞬間、城の中から悲鳴が聞こえた。