「一緒に生活して、純粋でひたむきな萌に惹かれた。さっき彼女に言った言葉は嘘じゃない。俺は誰よりも君を魅力的だと感じている。打算的な結婚の提案をした俺からこんな風に言うのはずるいと思う。でも、君が好きだ」

思ってもみなかった晴臣からの告白に、萌はただまばたきを繰り返して彼を見上げる。

彼の言葉を一言一句聞き逃したくないと思うのに、耳が拾うのは『君が好きだ』という信じられないセリフだけ。

夢の中をふわふわと彷徨っているような、地に足が着いていない感覚がして、これが現実なのかわからないほど。

強い眼差しに囚われ、頭の中がぼうっとする。

そんな中、言葉にできたのはひと言だけだった。

「嬉しい……」

いつから?とか、どこを?とか、そんな疑問が浮かばないほど、ただ彼の言葉が嬉しかった。まさか彼も自分と同じ気持ちでいてくれただなんて。

喜びを噛み締めながら呟いた萌を見た晴臣は、ひょいと萌を横抱きにする。