その姿を想像するだけで、胸が張り裂けそうに痛む。

萌が思わず晴臣のシャツの胸元をぎゅっと握ると、彼の喉がグッと鳴った。

部屋まで無言のままたどり着き、玄関のドアが閉まった瞬間に抱きしめられる。

「ひゃっ」
「萌、君を抱いてもいいか?」

一瞬、萌の思考回路が停止した。

あまりに非現実的な言葉で、理解が追いつかない。

(だって、まさか、そんな……)

晴臣の腕の中で身動ぎできないまま、頭の中で意味のない言葉ばかりがぐるぐると駆け巡る。

けれど徐々に言われた言葉が身体中に染み込んでいくと、恥ずかしさとともに女性としての喜びが溢れてくる。

彼と家族になりたい。晴臣の妻となり、彼に抱かれてみたい。

それは紛れもない萌の本心だった。