洗練された大人の雰囲気を持つ晴臣だが、食の好みはかなり可愛らしい。

チョコレートや大福など和洋問わず甘いものが好きだし、食事は唐揚げやオムライスなど、お子様ランチのようなメニューをよくリクエストされる。

高級なフレンチや懐石料理などを好みそうな外見とは正反対で、萌はひそかに微笑ましく思っていた。

「……今、やっぱり子供舌だなって思ったろ」

わざとらしく眉をひそめた晴臣に睨まれる。

決してバカにしたわけではなく、いい意味でのギャップが可愛いと思っただけだ。

萌は口を引き結んでブンブンと手と首を振ると、彼の長くて節張った指におでこをツンとつつかれた。

「顔が笑ってる」

ずいっと顔を近づけられ、じっと見つめられる。彼の瞳に映る自分の姿が確認できるほど近い距離に、萌の心拍数が一気に駆け上がっていく。